アート&カルチャー


第101回 ギャラリーエークワッド
 GALLERY A4
(東京都江東区)


夏休みも佳境に入り、海へ山へお出かけの方も多いことでしょう。

一年で一番長くお休みがとれる夏休みは、 お子さまと一緒にさまざまな体験ができる絶好のシーズン。

アクティブな体験もいいけれど、たまには、絵本に囲まれて、ゆっくり過ごす時間もまた 素敵な夏の思い出になるのではないでしょうか。

そこで、今回は、ママにもパパにもお子さまにもおなじみのこぐま社の代表作「こぐまちゃんえほん」シリーズ、 『わたしのワンピース』、「11ぴきのねこ」シリーズの生みの親、わかやまけんさん、西巻茅子さん、 馬場のぼるさんの作品世界を体感できる展覧会をご紹介しましょう。

東京・江東区新砂の竹中工務店東京本店の一角にある「ギャラリーエークワッド」で開催されている 「絵本づくりのマイスター3人展―西巻茅子・馬場のぼる・わかやまけん―」です。(2014年9月4日(木)まで)

GALLERY A4
http://www.a-quad.jp/

ところで、今回ご紹介する「ギャラリーエークワッド」は、日本を代表する建築会社を母体とするギャラリーですから、 「建築」に特化した展示が多いのではと思いがちですが、昨年の夏にはムーミンの作者トーヴェヤンソンの企画展を開催するなど、 「建築・愉しむ」をコンセプトに、年間を通して様々な企画展を開催しています。

ギャラリーの名前「エークワッド」とは、A4 = A3 ( 建築 Architecture )× A ?、  Aの3乗が空間、つまり「建築」を意味し、最後のAは、Atmosphere(空気、雰囲気)や Amusement(愉しみ、娯楽)あるいは、「建築」(Aの3乗=空間)に時間ファクター を取り入れ 4次元的に「愉しむ」といったことを意味しているそうです。

そのギャラリーエークワッドがこの夏、開催している企画展が「絵本づくりのマイスター3人展―西巻茅子・馬場のぼる・わかやまけん―」。 子どもが出会う最初の本だからこそ、心をこめて、最高のものを贈りたいという、芸術家でありマイスターである3人の絵本作家の世界を 紹介する展覧会です。(2014年9月4日(水)まで)

お子様連れで楽しめるミュージアム取材班としては見逃せない企画展。早速取材してきましたので、ご紹介しましょう。

ギャラリーへのアクセスはとても簡単。東京メトロ東西線「東陽町駅」下車徒歩3分。駅の東出口3番より出て一つ目の角を右折し ゆるやかな坂を上がった左手の竹中工務店東京本店の正面玄関を入って右手に位置しています。

ギャラリーの入口では、こぐま社のロングセラー絵本「こぐまちゃんえほん」シリーズ、『わたしのワンピース』、「11ぴきのねこ」シリーズの キャラクターたちが出迎えてくれます。

このケータイ・サプリwebマガジンのキッズブックで最初にご紹介した、 わかやまけんさんの『しろくまちゃんのほっとけーき』の一ページが 大きなパネルで展示されていて感激!

また、「ぽたあん どろどろ ぴちぴち・・・」で始まるフライパンで ホットケーキが焼ける様子がおいしそうに描かれた見開きページを始め、 『しろくまちゃんのホットケーキ』に使われた色鮮やかなリトグラフの手ずり校正が展示されているのも見どころの一つです。

続く西巻茅子さんのコーナーでも、名作絵本『わたしのワンピース』の魅力的なリトグラフの手ずり校正が展示されています。

白いワンピースが花もようになったり、虹のもようになったり、星のもようになったり。ママたちにも懐かしい素敵な作品たちです。

さらに、かわいらしい11ぴきのねこたちの絵とストーリー展開が愉快な「11ぴきのねこ」シリーズの 馬場のぼるさんのコーナーでは、リトグラフ作品とともに作品の楽しいエピソードなどが紹介されています。

一番奥のコーナーには、絵本の世界から飛び出てきたような「11ぴきのねこのいえ」と 「11ぴきのねこが乗る気球」が展示されています。

このコーナーでは写真撮影ができますのでカメラをお忘れなく!

小さいお子様は、ねこの家の中にはいったり、ねこのぬいぐるみをだっこしたり、 気球の下の椅子にすわって絵本を読んだり、絵本の世界で遊ぶことができるかも。 ママたちは、お子さまのかわいらしい姿を撮影ができる楽しいスポットです。

さて、3人の絵本マイスターの絵本を世におくり出したのが、こぐま社の創設者佐藤英和さんでした。

まだ日本の作家による創作絵本が少ない1960年代から、日本の「ことば」や「色」を使った本物の芸術作品を 子どもたちに見せて伝えたいと手のかかるリトグラフという手法にこだわった絵本を創作してきたそうです。

そして、その担い手となったのが今回の展覧会で紹介されている3人の絵本づくりのマイスターたち。

さらにリトグラフ手ずり校正に関わったマイスターたちの存在も重要です。

世代を超えて読み継がれるロングセラー絵本は、編集者はもちろん作家さんやものづくりの技術者など 子どもたちに良い絵本を届けたいという多くの作り手の情熱から生まれるのでしょう。

さて、今回の展覧会では、2011年の3.11以降読者からこぐま社に復刊依頼が相次ぎ、 20年ぶりに復刊された福島を舞台にしたわかやまけんさんの『あかべこのおはなし』も 紹介されていますのでお見逃しなく!

3人の作家さんのコーナーにはそれぞれこぐま社から出版されたさまざまな閲覧用絵本も展示されていますので、 実際に手にとって愉しんでみてはいかがでしょう。

また、ギャラリー内には展覧会に合わせた心地よい音楽が流れ、コーヒー(100円)も販売されていますので、 会場内に置かれたスツールに腰をかけホット一息つくのもいいかもしれません。

展覧会会期中は、こぐま社のショップが出店していますので、絵本やキャラクターグッズなどを購入できます。

さらに関連イベントとして「長く読み続けられてきた絵本のお話」と題し、 「絵本づくりのマイスター3人展トークショー」が以下の要領で開催されますので参加されては?

日 時:2014年8月22日(金)18:00〜20:00
講師:西巻茅子(『わたしのワンピース』作家)
  佐藤英和(こぐま社相談役/東京子ども図書館監事)
場 所:竹中工務店東京本店2F Aホール
参加費:無料
定 員:先着120名
申 込:HPの申込みフォームよりお申込みください。(http://www.a-quad.jp)

夏休みの一日、東京メトロ東陽町駅にほど近い「ギャラリーエークワッド」で開催中の 「絵本づくりのマイスター3人展―西巻茅子・馬場のぼる・わかやまけん―」にいらしてみませんか?

絵本が、子供が出会う最初の本でもあり芸術作品でもあるということを大事に、心をこめて絵本創りをしてきた方々 の思いを感じ、絵本の世界を体感しながら、素敵な時間を過ごすことができるでしょう。

お子様とご一緒の夏休みのお出かけスポットとしてもおススメです。







【赤ちゃん連れのお母様へ】
「ギャラリーエークワッド」はベビーカーで入館できます。
オムツ替えは近場では西友・東陽町店(東京都江東区東陽4−12−30大出ビルディング)の 多目的トイレ・女性トイレにシートがあります。






このコーナーでは、お子様連れで楽しめる皆さまお気に入りの ミュージアム情報を募集しています。 お問い合わせフォームから、是非お寄せください。
また、このコーナーへのご意見・ご感想もお気軽にお寄せくださいね。
お待ちしております。




竹中工務店東京本店

会場写真 撮影:光齋昇馬

『こぐまちゃんのみずあそび』
わかやまけん・作 リトグラフ手ずり
(1971年発行/こぐま社)

会場写真 撮影:光齋昇馬


『わたしのワンピース』
西巻茅子・作 リトグラフ手ずり 2003年改版
(1969年発行/こぐま社)

『11ぴきのねこ ふくろのなか』
馬場のぼる・作 リトグラフ手ずり
(1982年発行/こぐま社)

「11ぴきのねこのいえ」
馬場のぼる・作 『11ぴきのねことぶた』より

「11ぴきのねこが乗る気球」
馬場のぼる・作 『11ぴきのねことぶた』より

『あかべこのおはなし』
わだよしおみ/わかやまけん・作 リトグラフ手ずり
(1980年発行/こぐま社)






施設情報

公益財団法人 ギャラリーエークワッド (GALLERY A4)  

住所:
東京都東京都江東区新砂1−1−1
竹中工務店東京本店1F     

TEL:03 - 6660 - 6011 

開館時間:10:00−18:00
*最終日は〜17:00
休館日: 日・祝休館
※8月10日〜8月17日 夏季休館

詳しくは、直接お問い合わせいただくか、
ギャラリーエークワッド をご覧ください。

*取材協力・掲載許諾:ギャラリーエークワッド
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