アート&カルチャー


第106回 郷さくら美術館 東京 
Sato Sakura Museum Tokyo
(東京都目黒区)



2015年の年頭にあたり、皆様のご健康とご多幸をお祈りいたします。

このコーナーでは、本年も皆様の日々の生活に少しでも潤いを与えるような展覧会のご紹介、 お役にたつミュージアム情報をお届けしてまいりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

今年の第一弾は、東京の桜の名所として名高い目黒川に架かる橋のたもとにある現代日本画専門美術館、 「郷さくら美術館 東京」のご紹介です。

郷さくら美術館
http://www.satosakura.jp

郷さくら美術館は、2006年10月、福島県郡山市に現代日本画専門美術館として開館しました。

その後、2012年3月に東京の中目黒に分館としてオープンしたのが、 今回ご紹介する「郷さくら美術館 東京」です。

郷さくら美術館のコレクションは、昭和生まれの日本画家による50号以上の大作を中心に 様々なモチーフの日本画から構成されています。

そして、そのコレクションの中から毎回テーマに沿って「コレクション展」が、 年に4、5回開催されています。

現代日本画の魅力に触れる機会を提供する展覧会とともに、郷さくら美術館が力を入れている活動が、 制作現場で活躍している日本画家の支援。

さらに新たな才能を発掘・育成するコンペティションも実施しています。

さて、新春1月に「郷さくら美術館 東京」で開催されているコレクション展が、 「和のこころ 併設:桜の饗宴」展。(2015年1月7日(水)〜3月1日(日)まで)

なんとも初春にふさわしいテーマです。

日頃は、ビジネスや家事、育児に追いまくられていても、なぜかお正月には和の心を思いだす。 そんな方、多いのではないでしょうか?

和服を着て、神社にお参りし、おせちをいただき年賀状で懐かしい方々の顔を思い浮かべる。 そんな時間が愛しいと感じる和心があるからかもしれませんね。

今回の「郷さくら美術館 東京」のコレクション展「和のこころ」では、古くから日本画のモチーフとなってきた 花木や建築、歴史等をテーマとした作品約30点が展覧されています。

早速取材してきましたので、ご紹介しましょう。

「郷さくら美術館 東京」へのアクセスは、とても簡単!

東急東横線・東京メトロ日比谷線の中目黒駅を出て、目の前の山手通りを渡り、左手に進みます。 2本目の通りを右折し、東急ストアを右に見て、目黒川に架かる別所橋を渡り直進すると、右手、 ガソリンスタンドに隣接して建つ小ぶりだけれど印象的な建物に到着します。それが「郷さくら美術館 東京」です。

建物のファサードは、「郷さくら美術館」のシンボルマークをモチーフにした黒色の素焼きタイルで装飾されているため とてもコンバージョン建築だとは思えないシックな佇まい。

早速入ってみましょう。

受付でチケットを購入、展示室へと進みます。 、

展示室入口左手に展示されているのは、動物画の第一人者といわれる日本画家、竹内浩一氏の《戯画 游》。 キツネ火をモチーフにした現代版鳥獣戯画でしょうか。

正面奥には、那波多目功一氏の《寂》と題された作品が展示されています。 亡くなられたお母様を忍んで描かれたという静謐な作品です。

1F最初の展示室は、上記他風景画あり、人物画あり、日本画の第一線で活躍する画家たちの迫力ある 大型作品が並ぶ贅沢な空間です。

1F左手展示室には、風景や建物、花木をモチーフにした優しい雰囲気の作品が並びます。

小泉智英氏の《丹後の雪》は、丹後半島伊根町に残る1階が船のガレージ、2階が居室となっている 舟屋と呼ばれる独特の建物が並ぶ街の冬景色を詩情豊かに描いた心に残る作品。

また、どこかで見たことがある窓の画だと思いましたら、先日拝観してきたばかりの京都鷹峯の 源光庵の「悟りの窓」と「迷いの窓」を描いた作品でした。

この窓を前にした画家、伊藤髟耳氏の思いが伝わってくるようなすっきりした作品。

1Fの作品たちを堪能したら、エレベーターで3Fに上がり「和のこころ」展をさらに楽しみましょう。

3Fの展示室には渡辺信喜氏の大型作品《五色八重散椿》が展示。椿をモチーフにしたモダンな雰囲気の印象的な作品。

この展示室には、林 潤一氏の《富士晴嵐》と題する気持ちの良い富士山や西田俊英氏の 《吉備津の弓》と題する弓を引く袴姿の凛とした女性を描いた作品が展示され、 初春気分を盛り上げてくれます。

さて、2F展示室で開催されているのが、こちらの美術館ならではの常設展「桜の饗宴」展です。

古来から桜は日本人の心をとらえて離さない花木。現代の日本画家たちにとってももちろん恰好の画題です。

その美しさ、その力強さ、その儚さ、その潔さをそれぞれの画家たちはどのように描いているのでしょう。

まず、桜花図の第一人者といわれる日本画家、中島 千波氏の大作《櫻雲の目黒川》の壮麗な桜に目を奪われます。 目黒川のほとりにこの美術館がオープンする際に描かれた記念碑的作品とか。

また、ヨーロッパで修業されたという柳沢正人氏の《小諸城址の桜》のようにオリジナリティ豊かで 大胆に表現されたコンテンポラリーな日本画も見逃せません。

さらに、個性的な構図と淡麗な色彩で桜の表情を繊細に描いた岩永てるみ氏の《爛漫》と題する作品や《遠い春の記憶》と題する どこか懐かしさを感じる高木かおり氏の作品も展示されています。

2F展示室は展覧会タイトル通り、さまざまなスタイルの桜が饗宴している展覧会。各々お気に入りの 桜の画の前で一足早くお花見を楽しむのもいいかもしれませんね。

現代日本画を通して「和のこころ」を感じ、様々な桜の饗宴をたっぷり楽しめる、 そんな展覧会で、 今に生きる私たちの感性にヒットする日本画の数々を楽しんでみてはいかが?

美しい作品たちに感性を刺激され、心癒され、リフレッシュし、 あらためて、日本画の魅力に目覚めることでしょう。

新春のお出かけスポットとしてもおススメです。

また、桜の開花時期には目黒川沿いは約800本の桜が咲き競う桜の名所、お花見がてらおでかけになるのもおススメです。

2015年3月7日(土)から5月10日(日)まで、第3回 郷さくら美術館「桜花賞展」が開催されます。  











【赤ちゃん連れのお母様へ】
「郷さくら美術館 東京」はベビーカーで入館できます。
オムツ替えは1Fの多目的トイレにオムツ替えシートがあります。






このコーナーでは、お子様連れで楽しめる皆さまお気に入りの ミュージアム情報を募集しています。 お問い合わせフォームから、是非お寄せください。
また、このコーナーへのご意見・ご感想もお気軽にお寄せくださいね。 お待ちしております。




郷さくら美術館 東京

郷さくら美術館 東京

竹内浩一 《戯画 游》 2001年

1F展示室

小泉智英 《丹後の雪》 1994

1F展示室

渡辺信喜 《五色八重散椿》 2003年 

3F展示室 

中島千波 《櫻雲の目黒川》 2013年

柳沢正人 《小諸城址の桜》 2012年








施設情報

郷さくら美術館 東京  

住所:
東京都目黒区上目黒1−7−13

TEL:03−3496−1771 

開館時間:午前10時〜午後6時
(入館は午後5時30分まで)

休館日:月曜日、火曜日
年末年始、展示替えによる臨時休館

詳しくは、直接お問い合わせいただくか、
郷さくら美術 東京をご覧ください。

*取材協力・掲載許諾:郷さくら美術館 東京
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