アート&カルチャー


第111回 アクセサリー ミュージアム
ACCESSORY MUSEUM TOKYO,JAPAN 
(東京都目黒区)



緑したたる6月。装いもすっかり夏に向かい、 肌の露出度とともに大胆なアクセサリーの出番が増える季節ですね。

ファッションに合わせて、個性的なアクセサリーが色々選べる夏は ファッショントレンドに敏感な女性たちにはとりわけ魅力的でしょう。

そこで、今回は女性のだれもが関心のあるコスチュームジュエリーに関する 専門のミュージアム、「アクセサリーミュージアム」をご紹介しましょう。

アクセサリーミュージアム
http://acce-museum.main.jp/

「アクセサリーミュージアム」は、長年アクセサリー業界でお仕事をされてきた田中ご夫妻が収集された 膨大なコスチュームジュエリーのコレクションを収蔵・展示するために、2010年東京都目黒区祐天寺にオープンした個人美術館です。

時とともに失われてゆくコスチュームジュエリーの貴重な技法や繊細な手仕事を次世代に伝えてゆくことを ミッションとされているとか。

その展示は、1830年代から2000年代までのセミジュエリーとコスチュームジュエリー。

これらの作品は、時代別に区分された6つの部屋でその時代の家具や調度品、服、バックなどと共に 時代を感じながら観ることができます。

ところで、、コスチュームジュエリーとは?という方に少し説明すると、コスチュームジュエリーとは、 貴金属、金、プラチナ、宝石などの高価な材料を使って作るジュエリーとは一線を画した、 ファッション性を重視して作られた装身具。

金属、布、ガラス、ゴムなど、デザインにふさわしい素材を使い、その時代や世相に 合ったものを作るのが特徴だそうです。

私たちが日常使っているアクセサリーもコスチュームジュエリ−なんでしょうか?

実際に確かめるためにも早速ミュージアムにうかがってみましょう。

アクセサリーミュージアムまでのアクセスは、東急東横線祐天寺駅西口から徒歩10分程度。 駅西口を出て右手に向かい、すぐの道を左折、上目黒小学校に沿って田切公園交差点まで進み、 田切公園を右折し、次の三叉路を右折するとほどなく左手にアクセサリーミュージアムと書かれた エントランスゲートが見えます。

エントランスゲートの右手のアプローチを進むとミュージアム入口です。 受付で、チケットを購入し、早速展示室に入ってみましょう。 第1室から第6室では常設展示が開催されています。

第1室は、 「アールデコ<新しい装飾の意>」の作品群が展示されています。

アールデコは、1920年から30年にかけてヨーロッパやアメリカで発展した装飾様式。1925年に パリで開催された「現代装飾美術・産業美術国際博覧会」の略称アール・デコ博にちなんだ名称で、 華美な装飾を排したモダンデザインです。

社会進出が進み活動的になった女性のファッションに合うシンプルで幾何学的なデザインの アクセサリーやコーム、シガレットケースなどが展示されています。

この時代の素材としては、ベークライト、セルロイド、変わりガラス、 ガラスパールといった化学的な材料が登場します。

写真の黒を基調としたシンプルでシャープなデザインは今でも魅力的ですね!

さて、次は第2室の「アールヌーボー<新しい芸術の意>」へ進みましょう。

アールヌーボーとは19世紀末から20世紀初頭にかけて流行した装飾様式。 フランス・ベルギーを中心に拡がった国際的な芸術運動で、オリエンタル、イスラム、中国、 日本文化の影響を受け、自然主義を基本に優美な曲線的デザインを特徴とします。

この時代は、市民の台頭により、アクセサリーの一般化、大衆化が進み、 コスチュームジュエリーが本格的に登場した時期でもあるそうです。

植物、昆虫、女性などをモチーフにし、金、銀、七宝、半貴石、象牙、水牛の角 ブロンズ、真鍮などの素材がよく用いられたとか。

展示されている花や昆虫をモチーフとした七宝のブローチやバックルなどの優美でエレガント なこと!

第3室では「アールヌーボー 2 ベル・エポック〜美しい時代〜」と題し、 ガレやドームの作品を中心に家具や調度品などが展示されています。

さて、第4室は「ヴィクトリアン ロマンティック スタイル」。 英国のヴィクトリア女王の時代(1837−1901)の荘厳華麗な装飾様式です。

この時代の繊細で手の込んだセミジュエリーの作品群は見どころ! ヴィクトリア女王の趣向を映した見事なカメオや真珠のブローチなどを観ることができます。

また、1861年女王の夫君アルバート公が亡くなった際の服喪のアクセサリー(モーニングジュエリー)や 女王の愛したスコットランドの伝統的なデザインを活かしたスコティッシュジュエリーなど珍しい作品群も 展示されていますので、お見逃しなく!

さて次は、階段を下りて第5室へ向かいましょう。 (ベビーカーの方は一旦館外へ出て、直接B1FのミュージアムショップからB1Fの展示室へ向かうこともできますので、受付でご相談ください。)

第二次世界大戦は、華やかなパリの生活を一変させ、高級服飾界に打撃を与えました。 パリからモード情報がでなくなると各国は独立した流行を生み出しました。

特にアメリカは、戦争の影響が少なかったので、独自に既製服を発達させました。

しかし、1947年クリスチャン・ディオールが「ニュールック」を発表すると、パリは再びファッションの発信基地と なりました。

第5室ではオートクチュールをテーマに、ディオールなどオートクチュールのファッションやジュエリーが展示されています。

また、謎のコスチュームジュエラー、ヴァンドームのボヘミア産のカットグラスを使用した美しいネックレスなどが目を楽しませてくれます。

さて、20世紀は現代モードが確立した時代。それまでは上流階級のマダム向けの美しいドレスから、 仕事をする女性のためのドレスへと時代のニーズは変化していきます。

第6室では、70年代、80年代のプレタポルテの時代の多様なコスチュームジュエリーが展示されています。

60年代後半には、ヒッピー、サイケデリック、ツイッギー、 ミニスカート、パンタロン等が登場し、ファッションの自己表現化が進みます。

コスチュームジュエリーの素材も化学分野の発展でますます自由になり、 キャスト、真鍮、プラスティック、骨、木、貝、陶器などと幅を拡げました。

モードの主流はクチュールからプレタポルテへと変わっただけでなく 流行はストリートからも生まれるようになりました。

第6室では、ヤングファッションの台頭と共に作られた 様々な新しいスタイルのアクセサリーが展示されています。

1980年代になると、ジャン=ポール・ゴルチエがアヴァンギャルドの風をパリに吹き込みました。

この時代には、ヴィトン、グッチ、シャネル、エルメスなどの高級ブランドがブームとなり ディオール、ジバンシー、サンローランなどのコスチュームジュエリーも人気を博します。

ドルチェ&ガッバーナの斬新なネックレスも展示されていますので、お見逃しなく!

さて、懐かしさも感じる第6室の多種多様な作品を堪能したら、企画展示室で開催されている 企画展「ようこそ黒の世界へ〜ファッション画とアクセサリーの融合〜」展を鑑賞しましょう。(2015年7月30日(木)まで)

この企画展は、ファッション画家である坂巻かほるさんとアクセサリーミュージアムの所蔵品を組み合わせた、 アーティスティックな展覧会。

ファッション画の原画とモノトーンのアクセサリーから構成されるスタイリッシュな空間を楽しむことができます。

さて、たっぷり展示を楽しんだら、企画展示室に隣接するミュージアムショップへ向かいましょう。

ミュージアムショップでは、今では入手困難なヴィンデージコスチュームジュエリーから 新作トレンドコスチュームジュエリーまで様々なファッションアイテムが取り揃えられていますので、 お気に入りの一品をさがすのも楽しいかも。

また、随時アクセサリー教室も開催されていますので、オリジナルのコスチュームジュエリーを手作りしたい方は、 ミュージアムHPでご確認の上参加されては?

レッスンは、参加者の力量に合わせたものからスタート。初めての方は大体 1連のネックレスを2本(とめ方などが違うもの)作り、凡そ5回位でどれでも作れるように なるそうです。

サンプルからデザインを選択し、好きな色や素材で作る事も可能だとか。

パーツや道具類もすべて用意され、懇切丁寧な指導をしてくださるそうなので、初心者の方にも安心ですね。

初夏の一日、アクセサリーミュージアムへいらしてみませんか?

展示を見て感じて学んで、身近なアクセサリーをもっと楽しめるようになることでしょう。

アクセサリーミュージアムは、アクセサリー好きの方はもちろん手作りの好きな方、 アートやデザインの好きな方、クラフトの好きな方、歴史の好きな方、 美しいものの好きな方皆様が楽しめるおすすめのミュージアム。

梅雨時のお出かけスポットとしてもおススメです。













【赤ちゃん連れのお母様へ】
「アクセサリーミュージアム」はベビーカーで入館できます。







このコーナーでは、お子様連れで楽しめる皆さまお気に入りの ミュージアム情報を募集しています。 お問い合わせフォームから、是非お寄せください。
また、このコーナーへのご意見・ご感想もお気軽にお寄せくださいね。 お待ちしております。




アクセサリー ミュージアム

第1室 アールデコ(1920 -30年代)

《ドレスクリップ》《ネックレス》《パウダーボックス》《ブローチ》
いづれもフランス/1920 -1930 年代


第2室 アールヌーボー1(1900年代)

《ブローチ、バックル》
フランス/1900年頃
銀、銅、七宝

第4室 ヴィクトリアン(1830-1900年代)

《パリュールセット》
 イギリス/1800年代
 ピンチベックメタル、ガラス

第5室 オートクチュール(1940-60年代)

第6室 プレタポルテ (1970-80年代)

企画展「ようこそ黒の世界へ
〜ファッション画とアクセサリーの融合〜」展

アクセサリー教室用サンプル
 

 ミュージアムショップ「ETERNA」










施設情報

アクセサリーミュージアム

住所:東京都目黒区上目黒4-33-12

TEL:03-3760-7411 

開館時間:
10:00〜17:00
(最終入場16:30) 特別イベントの時は変更になるときがあります。
休館日:月曜日、第4・5日曜日、 5月連休 8月休館日(1日〜31日)、年末年始

詳しくは、直接お問い合わせいただくか、
アクセサリーミュージアムをご覧ください。

*取材協力・掲載許諾:アクセサリーミュージアム
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