特集: flânerie(そぞろ歩き)
<四季折々の京都>
第22回 北野天満宮の夏越天神
7月のそぞろ歩きは、北野天満宮の「夏越天神(なごし)天神」に行ってきましたのでご紹介しましょう。
北野天満宮は菅原道真公をご祭神としておまつりする全国約1万2000社の天満宮、天神社の総本社です。
天神信仰の発祥の地として、親しみをこめて「北野の天神さん」、「北野さん」とも呼ばれています。
毎月25日は、菅原道真公の御誕生日である6月25日と薨去(こうきょ)された2月25日に由来して天神市が開催されているのは有名。
特に、6月25日は、御誕辰祭にあたり「夏越(なごし)天神」ともいわれ、真夏を迎えるにあたって無病息災を願う
「大茅の輪くぐり」が行われています。
楼門に掲げられた「大茅の輪」は、直径約5メートルで京都最大といわれ、また
厄除け・病気除けとして直径7〜8センチほどの小型の「茅の輪」の授与もあります
というわけで、7月の「そぞろ歩き」はこれで決まり!
早速6月25日の早朝北野天満宮に向かいました。
アクセスはJR京都駅から市バスが便利。(50、101系統) 北野天満宮停で下車すると
今出川通りに面して建つ高さ11.4メートルの大鳥居近辺から、すでに縁日が始まっています。
午前8時過ぎとも思えない賑わい!
骨董・植木・古着、漬物、パンなどさまざまな露店の続く参道の先には「大茅の輪」が掲げられた楼門が聳えています。
「大茅の輪」を形作っている茅は、持ち帰りOKらしく、参拝の方々によってすでにそれぞれ自由に取り去られ、
解体されていっています。
持ち帰った茅はリースになさるのでしょうか?
さらに進むと「三光門」と呼ばれる、楼門と拝殿の間に位置する中門があります。ひときわ壮麗な作りで、
上部に掲げられた後西天皇御宸筆の『天満宮』の勅額によってこちらのシンボル的な建築となっています。
三光とは、日、月、星の意味で、梁の間に彫刻があることが名の由来だそうですが、星の彫刻だけが見られないとか。
その理由は、かつて朝廷のあった大極殿から望むとちょうどこの門の上に北極星が輝くことから、
天空と一つになって平安京を守っていた場所がこの北野の地ということだったのです。
この伝説的「星欠けの三光門」は、 桃山時代の建築様式で重要文化財に指定されています。
三光門をくぐると社殿の前の白い石畳には、「茅の輪くぐり」がセットされています。
白い石が敷き詰められた石畳の上にしつらえられた緑の「茅の輪」がすがすがしく、両側の七夕飾りがゆれる光景の美しいこと!
「茅の輪」を三度くぐってこの夏の無病息災を祈念しました。
、
総面積約500坪の雄大な桧皮葺屋根を戴く社殿は、菅原道真公をおまつりする本殿と拝殿が石の間という石畳の廊下でつながり、
本殿の西には脇殿を、拝殿の両脇には楽の間を備えた複雑な構造。
神社建築の歴史を伝える貴重な遺構として国宝に指定されています。
現在の本殿は豊臣秀吉公の遺命により豊臣秀頼公が慶長12年(1607)に造営されたものだとか。
唐破風や黄金色に輝く装飾、精緻な彫刻の数々は絢爛豪華な桃山文化の建築ならでは。
毎月25日のライトアップでは吊燈籠に火がともされ、幻想的な眺めを体験できるそうです。
さて、参拝をすませたら、絵馬所で一休み。現在の絵馬所は元禄12年(1699)に建てられ、
規模、歴史は現存する絵馬所のなかでも随一だとか。(京都市指定有形文化財)
また、天神さまのお使いとして、境内には神牛の像や彫刻が数多くみられますが、
これは菅原道真公が丑年生まれであったことと、大宰府で生涯を閉じられた際、
道真公の御遺骸をお運びする途中で車を引く牛が座り込んで動かなくなって、
やむなく付近の安楽寺に埋葬したという故事に由来しているそうです。
夏越天神は、天満宮の外にも続き、おお賑わい!骨店や古着を商うお店は、外国人が多く囲み色々物色中。。
露店は、天満宮の外周に沿って大鳥居から京都で一番古い花街、上七軒あたりまで続いていますので、そぞろ歩きには最適!
では、今回はこのあたりで。続きは次回。
DATA
北野天満宮
京都市上京区馬喰町 北野天満宮社務所
TEL 075-461-0005
http://www.kitanotenmangu.or.jp/