特集: flânerie(そぞろ歩き)
<四季折々の京都>
第28回 五条坂界隈(河井寛次郎記念館〜京都陶磁器会館)
京都・五条坂といえば、京都屈指の観光地、清水寺への参道口ということで、
常に国内外の観光客で混雑しているという印象が強いエリアです。
しかし、このあたりは伝統的に、京焼、清水焼など陶磁器の窯元が多い地域として知られています。
そこで、今回のそぞろ歩きは、京都の焼物にフォーカスして五条坂界隈を巡りましょう。
まず向かうのが、参道の喧騒から離れた閑静な住宅地にたたずむ「河井寛次郎記念館」。
大正から昭和にかけて京都を拠点に活躍した陶芸作家・河井ェ次郎の作品を展示する記念館です。
河井寛次郎は、1890年島根県出雲の安来に代々建築を業とする家に生まれ育ちました。1910年に入学した東京高等工業高校(現・東京工業大学)窯業科に入学し
同校で後輩となる濱田庄司と出会います。その後、
京都市立陶磁器試験場に入所。20年には京都・五条坂の窯を購入し、以降66年に没するまで京都を拠点に陶芸活動を続けました。
<河井寛次郎記念館>
この記念館は、1937年(昭和12年)に自宅として河井寛次郎自身のデザインで建築され、数多くの作品を制作した自宅アトリエです。
そのため作家の暮らしと作品を最良の形で観ることができる記念館。
多才な河井によって生み出された陶器、木彫作品、家具、器物、さらにコレクションが自然な形で保存・展示されているミュージアムです。
建物は建築にも深い関心と才能があったといわれる河井寛次郎がその周囲の街並みとの調和、環境にも配慮して設計をしたというだけあり、
とても趣きあるたたずまい。
扁額(看板)の書は、民藝の同士棟方志功の筆によるものだとか。
<河井寛次郎記念館>
内観は随所に手仕事の感じられる設えです。
自在鉤一式もみずからの考案だそう。
<河井寛次郎記念館>
中庭からは、この家の全体像を眺めることができます。一角に猫がねそべっていたり
穏やかな時が流れています。
<河井寛次郎記念館>
記念館の奥には登り窯が設置されています。、素焼き窯で焼成され、釉薬を施された
作品はこの登り窯で、本焼きされ幾多の秀作が生み出されたのですね。
「暮しが仕事 仕事が暮し」の言葉を残した陶工・河井寛次郎の作品世界に浸れる
記念館で素敵な「京都時間」を過ごしてみてはいかがでしょう。
DATA
河井ェ次郎記念館
京都市東山区五条坂鐘鋳町569
TEL:075-561-3585
アクセス:【京都駅より】市バス206番系統「馬町」下車徒歩1分、洛バス100号「五条坂」下車 徒歩4分
http://www.kanjiro.jp/
さて、河井ェ次郎記念館をたっぷり楽しんだら、国道1号線を渡り、五条坂入口方面に向かいましょう。
五条坂には、清水六兵衛・高橋道八を初めとする多くの京焼、清水焼の窯元があったといわれています。
京焼、清水焼は、上品で雅な京都を代表する伝統工芸ですね。
その京焼・清水焼、の優品を紹介しているのが、京都陶磁器会館。技に磨かれた名工の作品から若手陶芸家の新作まで
展示販売しています。
<京都陶磁器会館>
多種多様な京焼・清水焼製品を展示・販売していますので、観るだけでも楽しいおすすめの施設。お気に入りも見つかるかも。
京都の焼物めぐりをここからはじめるのもいいかもしれません。
DATA
京都陶磁器会館
京都市東山区東山区遊行前町583の1
http://kyototoujikikaikan.or.jp/
さて、五条坂を横切ると大谷本廟があります。
<大谷本廟>
大谷本廟は、浄土真宗本願寺派の宗祖親鸞の墓所。
通称は、「西大谷」。 大谷本廟は、「日野誕生院」・「角坊」とともに「宗教法人 本願寺」が所有する
飛地境内建物となっています。
<大谷本廟>
伽藍は静かなので、小休止するのもいいかもしれません。
DATA
京都府京都市東山区五条橋東6丁目514
TEL: 075-531-4171
http://otani-hombyo.hongwanji.or.jp/