アート&クラフト

第26回 川村記念美術館 Kawamura Memorial Musium of Art(千葉県佐倉市)


東京方面から成田空港に向かう手前の佐倉市に、ヨーロッパのお城をイメージする 素敵な美術館があるのをご存じですか?

川村記念美術館は、DIC株式会社(大日本インキ化学工業株式会社)が関連グループ会社とともに収集した美術品を公開するため、千葉県佐倉市の総合研究所に隣接する場所に1990年5月開館されました。

川村記念美術館
http://kawamura-museum.dic.co.jp/


マーク・ロスコ、バーネット・ニューマン、フランク・ステラなど20世紀美術を中心とした多彩なコレクションでアートファンの方には、すでにおなじみですね。

こちらの美術館、2007年7月から運営会社の創業100周年記念事業として増改築中のため、休館なさっていたのですが、2008年3月15日リニューアル・オープンし、DIC創業100周年記念展「マティスとボナールー地中海の光の中へー」を開催中とのことで、早速取材に。


東京方面から車では、東関東自動車道を使うのが便利。佐倉ICで降りて、国道51号線を美術館の案内板に従って進むと、右手に大きな美術館の看板が。木立の間の道を左に入って進むと美術館入り口前に広い駐車場があります。

バス・ロータリーの前のインフォメーションでチケットを購入し、木々にかこまれ、春らしいピンクの小花の咲く小道を下って行くと、レストランやギフトショップ、ギャラリー棟が。

さらに進むと、正面に白鳥湖!?と思わされる、なんともユーロピアンな景観が展開します。


噴水がリズミカルなアクセントになっている白鳥池の景観に目を奪われながら、さらに右手に目を向ければ、ヨーロッパのお城のような美術館の建物が。

美術館エントランスの右手にフランク・ステラの迫力満点の野外彫刻《リュネヴィル》、左手にインパクトのある清水九兵衛《朱甲面》が設置されているのも見逃せません。

美術館エントランスホールは、円形の装飾が美しい、高い吹抜けになっていて、中央にはマイヨールのヴィーナスの彫刻が設置され、クラシックな雰囲気。

展示室は、コレクション展示から始まります。まずは、印象派の時代からエコール・ド・パリまで、次にレンブラント、さらに前衛の時代と続きます。作品としては、クロード・モネ、パブロ・ピカソ、マルク・シャガール、藤田嗣治などの作品、そして、レンブラント・ファン・レインの肖像画、さらにカジミール・マレーヴィッチなどの作品を観ることができます。(展示替えがあります)

次は、尾形光琳や酒井 抱一などの日本画展示室。奥には、茶席が設けられ、観覧の合間に一服のお茶を楽しむこともできます。

渡り廊下の先には、右手にダダとシュルレアリスム、コーネルの展示室が。

そして、いよいよ今回新設された展示室へとアプローチを進みます。

こちらの美術館の核となるアメリカ抽象表現主義を代表する画家マーク・ロスコとバーネット・ニューマンの傑作といえる作品の展示室です。

一階のロスコ・ルームはさながら瞑想室のようなしつらえで、訪れた人が落ち着いて、自然に7つの作品との対話を促されるような雰囲気。
「人間・感情・距離」という設計思想のキーワードに納得です。


一方、2階のニューマン・ルームは、真っ赤な作品を正面に、真っ直ぐに階段を上って行くに連れ、作品に近付いていくという心の高揚感、そして、自然光を生かした明るい空間で《アンナの光》という作品に対面した時の開放感が、ドラマティック!

シェードに映った外界のシルエットも素敵です。
「超存在・崇高さ・スケール感」という言葉がキーワードとなっているそうです。

新設なったロスコ・ルームとニューマン・ルームを堪能した後も、まだまだ展示は続きます。

2階の渡り廊下を進むと20世紀後半のアメリカ美術の常設展示室。

そして、フランク・ステラの大きな作品を、まとめて鑑賞することができる展示室へと続きます。

また、こちらの美術館では、5月25日(日)まで、DIC創業100周年記念展「マティスとボナールー地中海の光の中へー」が開催されています。

20世紀の巨匠と呼ばれ、現代の美術まで大きな影響を与えている画家アンリ・マティス(1869−1954)とピエール・ボナール(1867−1947)の歩んだ軌跡と作品を観ることのできるまたとない機会です。

南仏の光あふれた色彩の織りなす絵画世界を、旅のヒントのニースにあるマティス美術館の雰囲気も感じながら鑑賞されてはいかがでしょう。

リニューアル・オープンされた川村記念美術館内は、現在、まさにアートの百花繚乱!

それだけではありません、美術館を取り巻く庭園もまた、今が春爛漫の美しさです。
取材に伺った3月20日過ぎには、カタクリがおしげもなく可憐な姿をみせていましたし、 スイセンやサクラソウなどが、かわいい姿でお出迎え。

池に沿ってゆるやかに下っていくと藤棚の下にベンチがあり、池を眺めながらゆったり一休みすることも。

さらに坂を下っていくと、満開のハクモクレンの木立が、なんとも幻想的な雰囲気をかもしだしています。

中央に野外彫刻のある、黄色い菜の花のボーダー花壇に囲まれたアート広場では、ピクニックのご家族連れが。周囲には、桜も植えられているので、お花見も楽しめそう。

取材当日は、桜はまだ開花していませんでしたが、庭園には、10種類250種の桜が植栽されているそうですので、このサイトがアップされるころは、本当に、庭園も百花繚乱の美しさでしょう。

園内には、自然散策路も整備されていますので、森林浴も楽しめそうですね。

また、カフェやランチにはレストラン・べルヴェデーレが利用できます。美術館内のミュージアムショップでは展覧会カタログ初めミュージアムオリジナルグッズを、レストラン隣接のギフトショップでは、地元の名産品や木のおもちゃ、インテリアグッズなどを探すのも楽しいかもしれません。

春うららの一日、新緑の一日、また、四季折々、アートと庭園の自然を、ゆったりと楽しめる川村記念美術館にご家族でお出かけになりませんか?


赤ちゃん連れのお母様へ:
美術館はバギーで入館できます。また、ベビーカーの貸し出しと授乳室については、受付でご相談ください。オムツ替えについては、館内では、1階エントランスホールの右奥に、庭園には正門を入ってすぐ左手のフェンス手前にオムツ交換台つきトイレがあります。




このコーナーでは、お子様連れで楽しめる皆さまの気に入りの 美術館情報を募集しています。 お問い合わせフォームから、是非お寄せください。
また、このコーナーへのご意見・ご感想もお気軽にお寄せくださいね。
お待ちしております。







 白鳥池

白鳥池

川村記念美術館

川村記念美術館

エントランスホール

エントランスホール

ロスコ・ルーム

ロスコ・ルーム

ニューマン・ルーム

ニューマン・ルーム

ピエール・ボナール

ピエール・ボナール
≪陽の当たるテラス≫
1939−46年
個人蔵

カタクリ

カタクリ

白鳥池

白鳥池

藤棚

藤棚

ハクモクレン

ハクモクレン

アート広場

アート広場

美術館(ミュージアム)情報

川村記念美術館

住所:
千葉県佐倉市坂戸631番地
TEL.0120−498−130

詳しくは、直接、お問い合わせいただくか、
川村記念美術館ホームページをご覧ください。

*こちらの記事は川村記念美術館より許諾を頂いております。