アート&カルチャー


第125回 国立歴史民俗博物館
National Museum of Japanese History
(千葉県佐倉市)



長かった梅雨がようやく明け、いよいよ夏本番!
長期休暇中の方も多いかもしれませんね。

海や山での自然体験は夏休みのメーンイベントですが、文化体験もまた夏休みならでは。 とりわけ日本の歴史の流れを、最新の研究に基づきさまざまな資料でたどることができるとしたら 歴女でなくとも魅力的!

そろそろ夏休みの自由研究が頭をよぎっている学齢期のお子さまにもウェルカムかもしれません。

そこで今回は、「歴博」の愛称で親しまれている千葉県佐倉市の大学共同利用機関法人人間文化研究機構が運営する 国立歴史民俗博物館をご紹介しましょう。

国立歴史民俗博物館
https://www.rekihaku.ac.jp

「歴博」は、1983年 (昭和58)に開館した、日本を代表する、考古学、歴史学、民俗学について総合的に研究・展示する博物館です。

本館では、原始・古代から現代に至るまでの日本の歴史と日本人の民俗世界をテーマに、実物資料や精密な複製品、 学問的に裏付けられた復元模型などで構成される総合展示や最新の研究成果に基づく企画展示などが開催されています。

現在開催されている企画展が「よみがえれ! シーボルトの日本博物館」。(2016年9月4日[日]まで)

取材してきましたので、早速ご紹介しましょう。

「歴博」への東京からの車でのアクセスは、首都高速から京葉道路(首都高湾岸線)、東関東自動車道を通り、 四街道ICで降りて案内板に従ってICから約8km。(電車では、上野駅から京成本線京成佐倉駅下車(約55分)、 徒歩約15分)

駐車場に車をおいて、早速広い階段を上がり博物館エントランスに向かいましょう。(スロープ有り)

受付でチケットを購入し、まずは、総合展示へ。総合展示は、今までにめぐったことのある方でも、 リニューアルや展示替えが随時実施されているので、お時間に合わせてとりあえずご覧になるのがおすすめ! 新しい発見があるかもしれません。

さて、今回は、第一展示室(原始・古代)が、リニューアル中(2016年8月現在)のため第2展示室(中世)から観てゆきましょう。

地方分権の進んでゆく平安時代の半ばから戦国時代にかけての中世は、貴族にまして、武士が勢力を持つ一方 自治的な都市や村が出現した時代です。

この展示室では、中世の歴史の流れを「王朝文化」「東国と西国」「大名と一揆」「民衆の生活と文化」 「大航海時代のなかの日本」という5つのテーマに沿って展示されています。

展示室入口正面では、京都にあった藤原道長の邸宅「東三条殿」の復元模型が出迎えてくれます。 「王朝文化」の見どころは、復元された御張台や 王朝貴族の服装 。男子は束帯が儀式の際の正装で、 女子は女房装束が女官の正装でした。女官や公家の装束の雅なこと!

また、京都町並復元模型や御朱印船模型なども見どころの一つです。

さて、次は、第3展示室(近世)に向かいましょう。この展示室では、近世(16世紀末〜19世紀半ば)の人々の生活や文化を、 「国際社会のなかの近世日本」「都市の時代」「ひとともののながれ」「村からみえる『近代』」という4つのテーマ で紹介しています。

近世の日本は、「鎖国」をしていたという印象が強いですが、東アジアのなかで孤立していたわけではなく、 長崎で中国・オランダと通商関係をもち(長崎口)、朝鮮とは対馬藩、琉球とは薩摩藩を介して外交関係をもち(対馬口・薩摩口)、 アイヌの人々とは松前藩を介して通商関係を持っていました。(松前口)

4つの出入り口を通じた人・もの・情報交流の紹介が新鮮!

また、巨大都市江戸の生活を再現した日本橋付近の町・市場・盛り場の復元模型や、ひとともののながれを象徴する 旅籠屋の復元模型など見ごたえある展示が続きます。

さらに、この展示室では、絵図・地図から近世日本の姿を紹介するコーナーや「ものからみる近世」というコーナーで、 年5-6回の特集展示を開催し、「寺子屋れきはく」と題した体験学習のコーナーも設けられていますので、 参加してみるのもいいかもしれません。

さて、2013年にリニューアルした第4展示室(民俗)は、「『民俗』へのまなざし」「おそれと祈り」「くらしと技」の各ゾーン別に 列島の民俗文化を紹介しています。

特色ある地方の祭り、かっぱなどの妖怪の世界、鰹船などを実物資料や複元模型、映像、写真などでダイナミックに紹介。

また、一角では、特集展示「柳田國男と考古学−柳田考古遺物コレクションからわかること−」も開催されていますので、お見逃しなく! (2016年10月10日[月・祝]まで)

さて、第5展示室(近代)では19世紀後半の近代の出発から1920年代までを「文明開化」「産業と開拓」「都市の大衆の時代」の 3つのテーマで紹介しています。

公教育の成立と普及として、擬洋風建築の舂米(つきよね)学校の模型や旧石巻ハリストス正教会教会堂模型などの美しい建築模型が展示されています。

また、明治政府と民間が進めた文明開化や殖産興業・富国強兵をになった製糸と製鉄関連展示やアイヌの近代に関する展示もあります。 浅草の街並の実物大復元模型を通過するとミニシアターでは無声映画の上映もされています。

続く第6展示室(現代)では1930年代から1970年代の生活と文化とそれを取り巻く日本の社会と世界の動きについて、 当時の生活用品や出版物、映画・ニュースなどの映像資料で紹介しています。

戦後雑誌創刊号コレクションや1950〜1970年代の学校給食を再現した展示などに目を引かれる方が多いかもしれませんね。

さて、日本の歴史を一通りめぐったら、いよいよ企画展示室に進みましょう。

企画展示室では、シーボルト没後150年を記念して、ミュンヘン五大陸博物館から里帰りしたシーボルトのコレクションによって構成される 「よみがえれ! シーボルトの日本博物館」と題する企画展を開催しています。 (2016年9月4日[日]まで)

ドイツ人の医師・博物学者であったフィリップ・フランツ・バルタザール・フォン・シーボルト(1796年2月17日 - 1866年10月18日)は 19世紀に2度にわたり来日し、江戸時代の日本に近代的な西洋医学を伝える一方で、日本の自然や生活文化に関する 膨大な資料を収集し、ヨーロッパに持ち帰りました。

シーボルトの日本研究が、帰国後『日本Nippon』(1832-1882)、『日本植物誌 Frola Japonica 』(1835-1870)として出版され、 後世の日本学や日本植物学に大きく貢献したことは良く知られています。

また、シーボルト事件や日本のアジサイの一種に最愛の日本人女性タキにちなんだHydrangea otaksaという学名をつけたエピソードは有名ですね。

しかし、シーボルトが、自身の収集したコレクションをもとに、ヨーロッパで日本をテーマにした博物館展示を行ったことは、 ほとんど知られていません。

シーボルトは、1度目の日本滞在中にすでに日本博物館を構想し、帰国後ライデン、アムステルダム、ヴェルツブルグ、 ミュンヘンの各都市で日本展示を実現しました。

今回の企画展示では、「歴博」の約6年にわたるシーボルト関連資料の総合的な調査によって得られた研究成果をもとに、 シーボルトの死の直前にミュンヘンで開催された「最後の日本展示」を、長男アレクサンダー・フォン・シーボルトが残した 目録をもとに復元的に紹介しています。

展示は「第T章 日本に魅せられた男、シーボルト」「第U章 シーボルトの日本研究」「第V章 シーボルトと日本展示」 「第W章 ようこそシーボルトの日本博物館へ」という流れで構成されています。

展示の見どころは、まずは、アムステルダムでの日本博物館に展示された作品のひとつ華麗な「花鳥図衝立」。 極彩色の絵画と彫刻によるインパクトのある作品です。

工芸品の中でも漆器は全体のコレクションの15%をしめるほど多く、中でも華麗な「桜川蒔絵眉作箱」、ユニークな「魚形蓋物(鰹)」や 「鉄線蒔絵燈籠型弁当箱」などで、当時の日本の漆工芸技術の素晴らしさを紹介しています。

また、今では衰退してしまった愛らしい麦藁細工の玩具や卵形入れ子合子などの民芸品の繊細な手わざには、保存状態のすばらしさとともに 感嘆することでしょう。

さらに長崎の裕福な子どもが着用したという豪華な刺繍の施された衣装や島原褄と呼ばれる振袖なども観ることができます。

川原慶賀筆の「日本人図鑑」の109点の様々な人物画の楽しいこと!これら作品はモニターですべてを見ることができますので、お見逃しなく!

「よみがえれ! シーボルトの日本博物館」、 万国博覧会やジャポニスムに先駆けてシーボルトが構想した民族学博物館の先見性に目を見張ることでしょう。

見どころ満載な「よみがえれ! シーボルトの日本博物館」を堪能したらミュージアムショップに立ち寄られるのもおすすめです。 企画展カタログはじめさまざまなミュージアムグッズがとり揃えられています。

また、ランチタイムやティータイムにはMF(中地階)のレストランが利用できます。緑豊かな城址公園を眺めながらホット一息、ランチやドリンクが 楽しめます。古代米が使われたオリジナルメニューもユニーク!

さらにお時間があれば、「くらしの植物苑」に立ち寄られるのもおすすめ!「伝統の朝顔」展が開催されています。(2016年9月11日[日]まで)

夏休みの一日、千葉県佐倉市の「国立歴史民俗博物館」にご家族でいらしてみませんか?

日本の歴史と民族に関する最新の研究成果をもとにした実物展示や、復元模型展示などで日本の歴史の流れを体感し、 日本の歴史や民俗への理解を深めることができるでしょう。

夏休みのお出かけスポットとしてもおすすめです。

お子さまの夏休みの自由研究のヒントにもなることでしょう。









【赤ちゃん連れのお母様へ】
「国立歴史民俗博物館」はベビーカーで入館できます。
オムツ替えは1Fエントランス奥の女子トイレにオムツ換え台が設置されています。 エントランスホールにある救護室が、授乳室としても利用できます。






このコーナーでは、お子様連れで楽しめる皆さまお気に入りの ミュージアム情報を募集しています。 お問い合わせフォームから、是非お寄せください。
また、このコーナーへのご意見・ご感想もお気軽にお寄せくださいね。 お待ちしております。




国立歴史民俗博物館

中央階段

第2展示室(中世)
藤原道長の邸宅「東三条殿」の復元模型

第2展示室(中世)
女房装束、公家装束(夏季)

第3展示室(近世)
展示会場風景

第3展示室(近世)
江戸橋広小路復元模型

第4展示室(民俗)
展示会場風景

第5展示室(近代)
舂米学校模型

「よみがえれ! シーボルトの日本博物館」展
「花鳥図衝立」 ミュンヘン五大陸博物館蔵
©Museum Fünf Kontinente

「よみがえれ! シーボルトの日本博物館」展
「魚形蓋物(鰹)」 ミュンヘン五大陸博物館蔵
©Museum Fünf Kontinente

「よみがえれ! シーボルトの日本博物館」展
「麦藁細工の玩具」 ミュンヘン五大陸博物館蔵
©Museum Fünf Kontinente

ミュージアムレストラン

くらしの植物苑「伝統の朝顔」展







施設情報

国立歴史民俗博物館
(大学共同利用機関法人 人間文化研究機構)   

住所:千葉県佐倉市城内町 117番地

TEL:043-486-0123(代)
   03‐5777‐8600(ハローダイヤル)

開館時間:
・博物館
3月〜9月 9:30〜17:00(入館16:30まで)
10月〜2月 9 :30 ~16:30(入館16:00まで)
・くらしの植物苑
9:30 〜16:30(入苑は16:00まで)

休館日:
・毎週月曜日(祝日にあたるとき翌日休館)
・年末年始(12月27日から1月4日まで)

入館料:(企画展示)
一般:830円 / 高校・大学生:450円
小・中学生:無料
*総合展示入場料含む
*毎週土曜日高校生入館無料 *くらしの植物苑は別料金(高校生以上100円)

詳しくは、直接お問い合わせいただくか、
国立歴史民俗博物館 をご覧ください。

*取材協力・掲載許諾:
国立歴史民俗博物館
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