茨城県陶芸美術館は、「伝統工芸と新しい造形美術」をテーマとした広大な笠間芸術の森公園の一角に2000年(平成12年)4月開館しました。
茨城県陶芸美術館
http://www.tougei.museum.ibk.ed.jp/
笠間芸術の森公園
http://www.koen.pref.ibaraki.jp/park/kasama01.html
「ときめく」「識る(しる)」「楽しむ」三つのキーワードをもとに、 陶芸のすばらしさを伝える、東日本で初の陶芸を専門に扱う美術館です。
人間国宝に指定されている全国の陶芸作家を常設展示するほか、笠間をはじめとする茨城県内陶芸作家の作品、笠間焼の歴史などを紹介しています。
また、年数回開催される企画展では、陶芸及び工芸における国内外の優れた作品を紹介しています。
現在開催中の企画展「伊藤公象1974-2009」は、「土の襞(ひだ)─多軟面体、褶曲、起土、焼凍土、木の肉・土の刃」をテーマとした、まさに「新しい造形美術」として必見の展覧会です。(6月21日まで)
そこで、早速東京から取材に伺いました。
常磐自動車道の岩間インターで北関東自動車道に入り、友部インターから笠間芸術の森公園を目指し、R355を進みます。
笠間といえば、益子焼とともに笠間焼きで有名な茨城県の伝統的な焼き物の町。
笠間へ近付くにつれ、陶芸ギャラリーや工房の看板が目立ち始めます。
笠間陶芸の森公園は、JR友部駅と笠間駅の中間あたりを右折した丘陵地帯に展開しています。
整備された道路の両側には、モダンな陶芸ギャラリーが軒を連ねます。
総面積54,6haを予定する笠間芸術の森公園の中で現在開園している35,8haに、茨城県陶芸美術館はじめ、野外コンサート広場や陶の杜、あそびの杜などが点在。
また、公園に隣接して笠間工芸の丘KASAMAクラフトヒルズ、茨城県工業技術センター窯業指導所「匠工房・笠間」も開設されています。
周辺には何箇所かパーキングも整備されていますので、美術館に便利なパーキングに駐車し、緑の丘からの眺めを楽しみながら美術館へ向かいましょう。
インフォメーションでチケットを購入し、まずは、地階の企画展示室へ。
今回の企画展の作家、伊藤公象氏(1932年〜 ・笠間在住)は、土の持つ特性や自然現象を活かした、陶造形によるインスタレーションで知られた作家さんです。
企画展カタログによれば、金沢の彫金の家に生まれた伊藤氏は、十代の頃に九谷焼の窯元に弟子入りし修業を重ねました。
しかしほどなくして陶工芸を離れ、人の作為をできるだけ抑える独自の造形世界を模索します。素材を土に絞り込むようになった1972年、妻である造形作家、伊藤知香氏とともに笠間に居を構えます。
1974年には北関東美術展に意欲作《多軟面体ブロック》を出品。粘土を薄くスライスしたものを即興的に手でまるめ、有機的なフォルムをそのままに焼成する「多軟面体」は、それまでの陶工芸とは一線を画す造形として、大きな反響を呼びました。
その後1978年にはインド・トリエンナーレでゴールド・メダルを受賞、1984年のヴェネツィア・ビエンナーレでは何百個という陶のパーツを床面に敷き詰める展示で注目され、以来、現代美術の作家としてグローバルに活躍されています。
今回の企画展は、作家ご本人が所蔵する主要作品を核に、美術館所蔵の各時代、シリーズの代表作を加えて伊藤公象氏の全貌を紹介する回顧展です。
「土の襞─多軟面体、褶曲、起土、焼凍土、木の肉・土の刃」というタイトルで表現された作品の数々は、これが陶の作品?!という意外性とオリジナリティに溢れ、いずれも有機的な形態が印象的。
泥漿(でいしょう)を凍らせることで生じた繊細な土の亀裂が思いもかけないリリカルな表情を見せる作品は、観る者を魅了します。
「木の肉・土の刃」という作品は、作品を構成している各パーツは一見しなやかで、繊細でありながら、全体では非常に力強い作品です。
2階市民ギャラリーには、「土の襞−青い凍結晶」という美しい作品が展示されています。
なんともいえないステキな色彩とフォルム、トータルなインスタレーションに感動します。
作品を構成する各パーツは一つとして同じものはなく、その展示も多くは作家さんの即興によるとか。
陶の造形を活かした表現を追求する伊藤氏の、土という自然との根源的なコラボレーションは、現代人の感性をインスパイヤーするに違いありません。
素晴らしく個性的な伊藤公像氏の作品を堪能した後は、1階常設展示室の茨城県陶芸美術館コレクションをお見逃しなく!
1階の第1展示室には、「近現代日本陶芸の巨匠たち」と題して、
日本近現代陶芸で優れた業績を残した文化勲章受章者と重要無形文化財保持者等の作品が常設展示されています。
とりわけ茨城県ゆかりの文化勲章受章者板谷波山、重要無形文化財保持者松井康成の特集展示コーナーは充実しています。
さらに2階第2展示室の展示コーナー では、「現代茨城の陶芸展」と題し、茨城県にゆかりの深い現在活躍中の陶芸家の代表的な作品を年4回の展示替えにより紹介。
歴史コーナー では、笠間焼の歴史や技法を、パネルや映像、パンフレットなどにより、学ぶことができます。
エントランスロビー では、伊藤公象展にちなんだ興味深いビデオが上映されていますので、作家さんと作品をさらに知りたい方におすすめです。
また、企画展として2009年7月11日(土)から9月6日(日)まで第20回 日本陶芸展が開催されます。
茨城県陶芸美術館コレクション「新収蔵品展」も、2009年6月2日(火)から10月4日(日)まで開催されます。
随時イベント等も開催されていますので、美術館ホームページでご確認ください。
ミュージアムショップでは展覧会カタログやポストカードはじめミュージアムグッズが
購入できます。また笠間焼きの陶芸作品も多く販売されていますので、お気に入りの一品を探すのも楽しいかもしれません。
ランチやカフェには眺めの良い、明るいレストラン「風の丘」が利用できます。地元の食材を笠間焼の器でいただけます。
さらにお時間があれば、笠間陶芸の丘KASAMAクラフトヒルズで陶芸体験するのも楽しいかもしれません。
笠間陶芸の丘KASAMAクラフトヒルズ
http://www.kasama-crafthills.co.jp/
また、お子さま連れには、笠間芸術の森公園内のあそびの杜や陶の杜で童心に帰るのもおすすめです。
お子さま連れで一日ゆっくりとアートとクラフト、北関東の自然を楽しみに、茨城県陶芸美術館に足を伸ばされてはいかが?
陶芸ファンはもちろん、陶芸初心者にも、現代アートファンにもおすすめの美術館です。
赤ちゃん連れのお母様へ:
茨城県陶芸美術館はベビーカーで入館できます。オムツ換えは、1階バリアフリートイレにベビーシートがあります。授乳とベビーカーレンタル(無料)についてはインフォメーションでご相談ください。
このコーナーでは、お子様連れで楽しめる皆さまの気に入りの
ミュージアム情報を募集しています。
お問い合わせフォームから、是非お寄せください。
また、このコーナーへのご意見・ご感想もお気軽にお寄せくださいね。
お待ちしております。
茨城県陶芸美術館
茨城県陶芸美術館
茨城県陶芸美術館
木の肉・土の刃
1991年
高松市美術館蔵
伊藤公象
土の襞−青い凍結晶
2007年
作家蔵
伊藤公象
第1展示室
第2展示室
ミュージアムショップ
レストラン
笠間陶芸の丘
笠間陶芸の丘
茨城県陶芸美術館
住所:
茨城県笠間市笠間2345(笠間芸術の森公園内)
Tel:0296−70−0011
詳しくは、直接、お問い合わせいただくか、
茨城県陶芸美術館をご覧ください。
*こちらの記事は茨城県陶芸美術館
より許諾を頂いております。