アート&カルチャー

第68回 愛知県陶磁資料館
 (平成25年6月1日に「愛知県陶磁美術館」へ名称変更)
  AICHI PREFECTURAL CERAMIC MUSEUM (愛知県瀬戸市)

愛知県といえば、近年はトヨタをはじめとする自動車産業のメッカとしてクローズアップされることが多いですが、実は、古代から現代まで猿投・瀬戸、常滑などの大窯業産地を擁する現代でも日本最大の窯業県であることをご存じでした?

特に瀬戸は、日本有数の陶磁器である瀬戸焼の生産地。「せともの」という呼称は、この瀬戸という地名に由来しているというほど陶磁器とは深いゆかりのある土地です。 

そこで、今回は、この瀬戸市の緑豊かな丘陵地に威容を誇る愛知県陶磁資料館をご紹介しましょう。

愛知県陶磁資料館 
http://www.pref.aichi.jp/touji/

愛知県陶磁資料館は、愛知県の産業と文化の発展に深くかかわってきた陶磁に関する貴重な文化財を収集・保存・展示するために、県政100年記念事業として1983年(昭和53年)に開館しました。

その後、増改築を経て、現在のような本館・南館・西館という3棟の展示施設と作陶体験ができる陶芸館、薄茶が楽しめる茶室、発掘された釜跡を保存する古窯館、復元された古窯等から構成される日本屈指の陶磁専門ミュージアムとなりました。

コレクションは、3点の重要文化財を含む5000点以上に及び、日本陶磁だけでなく、中国・朝鮮、イスラム陶器、近・現代陶芸、産業陶磁など幅広いジャンルにわたる質量ともに充実の内容。

年間を通してこれらコレクションによる常設展示に加え企画展、特別企画展、テーマ展が開催されています。

この11月は、企画展「開窯300年 マイセン 西洋磁器の誕生」(2011年12月11日(日)まで)やテーマ展示「愛知県陶磁資料館コレクション モダン・ヨーロッパの食器セット-マイセン、ロイヤル・コペンハーゲンを中心に-」(2011年12月18日(日)まで)など華やかなラインアップ。  

芸術の秋にいろいろ楽しめそうな陶磁の総合ミュージアム、愛知県陶磁資料館を早速訪ねてみましょう。


名古屋からのアクセスは簡単!
東名高速道路名古屋インターチェンジから瀬戸、豊田・足助方面に約10kmほど。

地下鉄では、東山線「藤が丘」駅からリニモ(東部丘陵線)に乗り換え 「陶磁資料館南」駅下車、北へ徒歩600mで到着します。

沿道(線)には、近現代日本画の名都美術館やすでにこの「赤ちゃん連れでも楽しめるミュージアム」でご紹介しているトヨタ博物館など各種文化施設が集積しています。

また、現在はモリコロパークとして親しまれている2005年に開催された『愛・地球博』長久手会場の隣接地なので、周辺環境はとても整備されています。  

県道を左折し、愛知県立大学の先を右折、緑に囲まれた長い上り坂のアプローチを進むと、その先には立派な陶芸館に面して大駐車場があります。

車を降りると早速約2700uの広大な敷地に点在する愛知県陶磁資料館の各施設が現れます。まず、パーキング右手には、古窯館があり、資料館敷地から発掘された平安時代から鎌倉時代(12世紀〜13世紀)の窯が展示されています。

さらに進むと、左手にやきもの体験が手軽にできる陶芸館があります。 予約不要で作陶や絵付けができる施設はとても貴重。しかも初心者から陶芸指導員の方の指導を受けながら手回しロクロを使って自由に作陶にトライできるのですからうれしいですね。

出来上がった作品は素焼き・釉薬がけ・本焼成をして郵送もしてくださいますので、出来上がりも楽しみ!

基本的に2時間交代になっていますので、希望の際は早めに受付で相談されるのがいいかもしれません。


さて、陶芸館の向かい側には、復元古窯が展示されていて、瀬戸や美濃で使われていた室町時代(16世紀)の大窯と江戸時代の登窯(19世紀)を見ることができます。

さらにその先には高い塔が印象的な本館建物がそびえています。広々とした1階ロビーの受付でチケットを購入し、まずは、企画展示室に向かいましょう。

現在開催されている企画展は「開窯300年 マイセン 西洋磁器の誕生」(2011年12月11日(日)まで)です。

ヨーロッパで初めて磁器製造に成功したのは、1710年にザクセン選帝侯アウグスト強王によって創設されたマイセン窯でした。J.F.ベットガーによる焼成成功にはじまり、J.G.ヘロルトの絵付とJ.J.ケンドラーの造形とが加わり、マイセン磁器はヨーロッパの王侯貴族の間で瞬く間に名声を博し、この窯が生み出した技法や文様は、その後のヨーロッパ各地の諸窯をリードしました。

この展覧会では、開窯から300年を迎えたマイセン窯の歴史の中でももっとも輝かしい時代とされる最初の半世紀を140件約200点の作品によって紹介されています。

シノワズリー装飾の作品から、ディナーセットやフィギュア(磁器彫像)などでマイセン磁器の世界を楽しむことができます。

テーマ展示「愛知県陶磁資料館コレクション モダン・ヨーロッパの食器セット-マイセン、ロイヤル・コペンハーゲンを中心に-」(2011年12月18日(日)まで)では、セットの食器でテーブルを統一するというヨーロッパの伝統を踏まえた名作食器セットが紹介されています。おなじみのブランドが揃っていて興味深いです。

2階常設展示室では、「世界やきものの旅−日本・中国・韓国・東南アジア・中近東・ヨーロッパ・アメリカ−」と題して世界のやきものが展示。お子様はスタンプラリーが楽しめるかも。

「土と炎の芸術 -世界の土器-」では、世界各地の原始・古代土器を比較紹介されています。また、「猿投・瀬戸:全国古窯陶磁資料展」や実物資料で日本陶磁事典を実現しているような展示もあります。

さらに 「現代の陶芸 -いろ・かたち・もよう-」と題して館所蔵の現代陶芸作品を中心に、世界の多様な陶芸表現を紹介しているコーナーもあります。


広い芝生の敷地にはさらに南館や西館が建っています。 南館では陶磁産業の現在と未来を生活と関連付けて紹介されていたり 「やきもの何だーランド」では「やきもののおもちゃ」や「やきものマイスター」による制作体験を楽しめます

さらに、西館では、ユニークな瀬戸や美濃で作られたこま犬が展示・紹介されています。


充実の展示を堪能したら、茶室「陶翠庵」でほっと一息いれるのもおススメ! 瀬戸や常滑、美濃の陶芸作家の好きな作品で薄茶をいただける贅沢な体験も楽しめます。

本館ロビー脇のミュージアムショップでは愛知県陶磁資料館発行の書籍はじめオリジナルポストカード、また、注目の作家によるやきものやガラスの作品が販売されていますので、お気に入りの一品をさがすのも楽しいかも。

ランチには本館1階のレストラン「とうじ」が利用できます。

やきものを見て、触れて、作って一日楽しめる愛知県陶磁資料館にご家族で四季折々いらしてみませんか?

今も昔もやきものが生活を豊かにするということを実感されることでしょう。









赤ちゃん連れのお母様へ:
愛知県陶磁資料館はベビーカーで入館できます。
オムツ替えは本館各階のバリアフリートイレにオムツ替えシートがあります。
大駐車場がありますので、赤ちゃん連れには便利です。



このコーナーでは、お子様連れで楽しめる皆さまお気に入りの ミュージアム情報を募集しています。 お問い合わせフォームから、是非お寄せください。
また、このコーナーへのご意見・ご感想もお気軽にお寄せくださいね。
お待ちしております。




愛知県陶磁資料館

愛知県陶磁資料館

陶芸館

やきもの体験

本館ロビー

『開窯300年 マイセン 西洋磁器の誕生』
色絵金彩貼花「スノーボール」ティーサーヴィス
1740〜60年 個人蔵

『開窯300年 マイセン 西洋磁器の誕生』
色絵置物コンメディア・デッラルテ
「アルレッキーノ」
1744年頃 個人蔵

本館第7展示室

南館

ミュージアムショップ

茶室「陶翠庵」






施設情報

愛知県陶磁資料館 
(平成25年6月1日に「愛知県陶磁美術館」へ名称変更)

住所:
愛知県瀬戸市南山口町234番地   

TEL:0561-84-7474

詳しくは、直接お問い合わせいただくか、
愛知県陶磁美術館をご覧ください。

*こちらの記事は愛知県陶磁資料館より許諾をいただいております。
禁無断転載
©愛知県陶磁資料館