とりわけ寒さの厳しい今年の冬もようやく終わりに近づいてきました。
光あふれる春はすぐそこまで来ています。
ところで、絵画の世界で光あふれる時代といえば、印象派を想い浮かべる方が多いかも知れません。
印象派の画家たちは、戸外にキャンバスを持ち出し、明るい陽光に満ちた風景を眼に映った印象のまま描くという表現スタイルを推し進め、筆触分割によりそれまでにない明るい画面を実現させました。
印象派に先立ち風景や田園の情景に美しさを見出し、背景としての風景から独立させて風景そのものをモチーフとする風景画の世界を切り開いたのが、バルビゾン派の画家たちでした。
彼らは、パリの南東65kmにあるフォンテ−ヌブローの森に近いバルビゾン村に移住・滞在して活動を繰り広げました。
バルビゾン派といえば、山梨県立美術館のジャン・フランソワ・ミレーの《種まく人》が有名ですが、実は今回ご紹介する村内美術館もミレーをはじめとするバルビゾン派の絵画を蒐集・展示する国内屈指の美術館として知られています。
村内美術館
http://www.murauchi.net/museum/
1982年(昭和57年)株式会社村内ファーニチャーアクセス会長、村内道昌氏がコレクションされたバルビゾン派を中心とする19世紀自然派の画家たちの作品を蒐集・展示するために開館しました。
そのコレクションは、バルビゾン派を中心に、印象派とその周辺の画家たちの作品約140点から構成されています。
1976年、バルビゾン派のディアズ・ド・ラ・ペニャ作「マルグリット(ひな菊占い)」から始まった村内氏のコレクションは、バルビゾン派の作品へと向かい、さらにミレー、コロー、クールベなどの19世紀自然派の作品へと広がります。
その後、ドガ、ルノワール、ピサロなどの印象派の作品を蒐集する機会にも恵まれ、19世紀フランスの絵画史を代表する画家たちのコレクションが形成されていったそうです。
クールベのコレクションとしては、上野の国立西洋美術館と双璧をなすほどの秀作が揃っていることでも有名な村内美術館。早速伺ってみましょう。
東京からのアクセスは簡単!中央自動車道で八王子IC第2出口より至近距離。MURAUCHIと書かれた大きな看板が目印です。
村内家具店1階の美術館専用エレベーターで3階に降り立つと瀟洒な美術館ロビーが出迎えてくれます。
ロビーを飾るのは、エントランス正面のレオン・リシェの風景画《河辺》やブールデルのブロンズ彫刻《ぺネロップ》、またマイヨールの《花のニンフ》など格調高い作品群です。
さらに眼を引くのが、羊や犬のかわいいキャラクターたち。村内美術館の誘う展示テーマ「美楽の旅」への道案内人のように置かれています。
エントランス横の受付でチケットを購入、早速、「美楽の旅」へと出発しましょう。
まず最初のコーナーでは、「第1章 大自然に降り立つ旅人」と題してシャルル・フランソワ・ドービニーとピエール・エティエンヌ・テオドール・ルソーの作品が展示されています。
ドービニーの描く風景画からは、川面に反映する景色の描写の巧みさとともに穏やかな大気までもが感じられます。
また、ルソーの《夕暮れのバルビゾン村》などの夕日に染まる劇的な風景画や、森に差し込む光が岩や土、木や草むらなどを照らし出している光景を描いた大作《フォンテーヌブローの森(バ・ブレオーの樫の木》からは、"森の哲人"ルソーの力量のほどがうかがえます。
「第2章 田園のロマンを求めて バルビゾンの巨匠たち」は、
ディアズ、トロワイヨン、デュプレ兄弟などバルビゾンの七星といわれる画家たちの作品が展示されています。
このコーナーでは、村内コレクションの発端となったナルシス・ヴィルジル・ディアズ・ド・ラ・ペニャの可憐な作品に出会うこともできます。
また、コンスタン・トロワイヨンやシャルル・エミール・ジャックの羊を描いた動物画やデュプレ兄弟の風景画などバルビゾン派の画家たちが当時の風景画先進国オランダやイギリス絵画の影響を受けたといわれる作品もあり興味深いです。
さて、いよいよこちらの美術館のなかでもとびきり秀逸な作品が揃っている「第3章 三大巨匠の競演 ミレーの農民賛歌、コローの詩情、クールベのリアリスム」と題した展示室へ。
これらの作品を観るだけでもこちらを訪れる価値があるような作品群が並んでいます。
ミレー展示室では、ジャン・フランソワ・ミレーの初期の傑作といわれる《鏡の前のアントワネット・エベール》をはじめとしたミレーの初期肖像画が充実しています。
そしてコロー展示室ではジャン・バティスト・カミーユ・コローの印象派的傑作《ヴィル・ダヴレーのカバスュ邸》という魅力的な作品が展示されています。
《小さな水門のある草原》は「コロー色」と呼ばれる銀灰色のヴェールに包まれた木々が描かれた詩情豊かな作品です。
クールベ展示室は圧巻!ギュスターヴ・クールベのあまりにも有名な《フラジェの樫の木》や《波》、《木の下の鹿と仔鹿》、《シヨン城》そして《ボート遊び(ポドスカーフに乗る女)》などクールベの主要作品を揃って観ることができ、贅沢の極み!
さて、次のテーマは「第4章 19世紀の保守と革新」。アンリ・ファンタン・ラトゥールやジャン・ジャック・エネル、エドゥアール・マネなどの19世紀の主流であったアカデミスムで活躍した画家の作品を観ることができます。
特に、《横たわる裸婦》や《赤いショール》などエネルの作品を鑑賞できる貴重な機会です。
展示室のこのあたりにはクラシックな応接セットが配置され、ゆったりと寛いで絵画を鑑賞できるように嬉しい配慮がなされています。
次のコーナーでは、「第5章 印象派の光と影」と題し、ピサロ、ルノワール、ドガ、ボナールなどの作品が展示。
ピエール・オーギュスト・ルノワールの《ジャン・ルノワールと一緒のガブリエルと少女》には癒されることでしょう。
次の「6章 哀愁のエコール・ド・パリ」ではユトリロ、ローランサン、マルケ、パスキン、キスリング、ビュッフェなどの作品が展示。
さらに「7章 芸術家の人柄がにじむデッサン、水彩」ではミレーのデッサンや水彩画を観る事ができます。
そして最後は「フィナーレ 20世紀のモダニスム」と題し、ビュッフェ、カトラン、カシニョール、ブラジリエ、ギアマン、マナブ間部の作品で締めくくられています。
こうして19世紀のバルビゾン派から印象派をへてたどりついた「美楽の旅」の内容のなんと充実していること!
小さいけれど内容の濃い何度でも訪れたくなるような美術館を目指されている村内氏の想いが伝わってくるよう。
絵画を堪能した後はミュージアムショップでお気に入りの品をさがすのも楽しいかも。
ショップには書籍、ポストカード、オリジナルグッズをはじめ、ステーショナリー、世界の美術館のアクセサリーなどが取り揃えられています。
一息つきたいときには休憩室へ。
室内とバルコニーには佐藤忠良の彫刻が展示され、武蔵野の雑木林を眺められる大きな窓とモダンな家具でしつらえられた心地よいスペースです。
カフェやランチには、家具店北6階のカフェレストランルーブルが利用できます。
バルビゾン派を中心に19世紀のフランス自然派絵画を楽しみに村内美術館を訪れてみませんか?
世界的な名画に囲まれ、とびっきり素敵な時間を過ごすことができることでしょう。
鑑賞者に芸術をわかりやすく解説するための「美術館面白クイズ」や、ところどころに置かれたかわいらしい羊のオブジェなど、お子様からお年寄りまで楽しめる工夫もされていますので、春休みのお出かけスポットとしてもおススメです。
赤ちゃん連れのお母様へ:
村内美術館はベビーカーで入館できます。
ベビーカーの貸し出しは家具店出入口で行っています。
授乳室は家具店、北3Fにあります。
詳しくは、村内家具店のホームページのフロアガイドをご参照下さい。
http://www.murauchi.net/store/hachioji/floorguide.html/
このコーナーでは、お子様連れで楽しめる皆さまお気に入りの
ミュージアム情報を募集しています。
お問い合わせフォームから、是非お寄せください。
また、このコーナーへのご意見・ご感想もお気軽にお寄せくださいね。
お待ちしております。

村内美術館

エントランスホール

ジャン・フランソワ・ミレー
≪鏡の前のアントワネット・エベール≫1844-45年

ジャン・バティスト・カミーユ・コロー
≪ヴィル・ダヴレーのカバスュ邸≫1835-40年

ギュスターヴ・クールベ
≪フラジェの樫の木≫1864年

ピエール・オーギュスト・ルノワール
≪ジャン・ルノワールと一緒のガブリエルと少女≫
1895-96年

展示室風景

ミュージアムショップ

休憩室
村内美術館
住所:
東京都八王子市左入町787
村内ファニチャーアクセス3階
TEL:042-691-6301
詳しくは、直接お問い合わせいただくか、
村内美術館をご覧ください。
*こちらの記事は村内美術館より許諾をいただいております。
禁無断転載
©村内美術館