長かった冬が明け、麗かな春がやってきました。
入園、入学、入社の4月はピッカピカの新人たちが巷にあふれるフレッシュな季節。
桜花を筆頭に華麗な花のシーズンでもあります。
美しい花々の咲き乱れる日本の春は、古来から画家にとって重要なモチーフでした。
そこで、今回は日本画の専門美術館、山種美術館と開催中の春らしい展覧会をご紹介しましょう。
2014年5月11日(日)まで開催される「特別展 富士山世界文化遺産登録記念 富士と桜と春の花」です。
山種美術館
http://yamatane-museum.jp/
さて、山種美術館は、美術館HPの紹介文によれば、1966(昭和41)年7月、日本初の日本画専門の美術館として日本橋兜町に開館しました。
その収蔵品は創立者山崎種二氏が「絵は人柄である」という理念のもとに蒐集、寄附した美術品を核としています。
その数およそ1800点余り、明治から現在までの近・現代日本画を中心に、古画、浮世絵、油彩画などバラエティ豊かな優品から構成されています。
また、1976年(昭和51年)、2代目館長の山崎富治氏が購入した安宅コレクションの速水御舟作品105点を加え、総数120点もの御舟作品を所蔵することから「御舟美術館」としても親しまれてきました。
現在開催中の特別展では、2013年6月にユネスコの世界文化遺産に富士山が、「富士山―信仰の対象と芸術の源泉」として登録されたのを記念して、富士山を描いた作品を中心に、富士山と同じように古来より愛されてきた桜と春の花々をテーマにした作品群が展示されています。
「富士山と桜と春の花」、日本人の美意識に訴える3大テーマを日本画家たちはどのように表現してきたのでしょう?
早速取材してきましたので、ご紹介しましょう。
美術館へのアクセスは、JR恵比寿駅西口より駒沢通りを六本木、青山方面に10分ほど歩くと、広尾高校裏交差点の右手に見える瀟洒なビルと簡単です。
そのビルの1階に山種美術館のエントランスとカフェがあり、地下1階が展示室になっています。
受付でチケットを購入、早速地下1階の展示室に向かいましょう。
「特別展 富士山世界文化遺産登録記念 富士と桜と春の花」(2014年5月11日(日)まで)は、第一章「富士山」の「日本画にみる富士」のコーナーから始まります。
まずは、富士山の絵といえば、この人といわれるほど多くの富士山を描いた近代日本画壇の巨匠、横山大観の《霊峰不二》が展示されています。古来、信仰の対象として崇められてきた富士山が日本を代表する山でもあることを明快に表現した、いかにも日本的な作品。
また、大観の富士山観を表した《心神》も観ることができます。この作品は、山種美術館の創立者、山崎種二氏が、「美術館をつくるなら」という条件で購入を許された作品だとか。
続いて、初夢に見ると縁起が良いとされる、一富士、二鷹、三茄子を描いた田崎草雲の《瑞夢(富士・鷹・茄子)》、伊東深水の端正な《富士》、奥村土牛の《山中湖富士》や《富士宮の富士》と続きます。
さらにこのコーナーでは、富士山を表現するのに華厳という言葉が近いと作者自身が語る小松均の《赤富士図》と題するインパクトのある作品も展示されています。
次の「名所絵のなかの富士」をテーマとするコーナーでは、中世以来、名所絵や山水画のテーマとして人気を博した富士山を描いた作品群を観ることができます。
円山応挙の《富士三保図屏風》(4/15〜5/11展示)や、歌川芳幾の《富士山北口女人登山之図》(4/1〜4/20展示)などユニークな錦絵も展示。
「富士を仰ぎみて」のコーナーでは、渡辺始興の《氷室の節供図》(4/15〜5/11展示)が興味を引きます。
旧暦の6月1日富士の氷室から氷を運んでいる情景が富士山の遠望を背景に活写されている作品です。
続く「富士と桜と春の花」をテーマにしたコーナーでは、歌川広重の不二三十六景などの中判錦絵をはじめ山元春挙の《裾野の春》など、富士と桜と春の花をモチーフに春の情景が描かれた作品が展示されています。
片岡球子の傑作《めでたき富士》もこのコーナーで観ることができます。ダイナミックな構図とモダンな意匠が魅力的な作品です。
次は第二章「花の宴」に移ります。
「名所の桜」と題するコーナーは圧巻!中でも奥村土牛の《吉野》は、淡く柔らかな色調、繊細なタッチのなんとも癒される作品です。
さらにこのコーナーには、奥村土牛の名作《醍醐》も展示。枝垂れ桜の華麗な美しさに見とれてしまうでしょう。
「桜に魅せられて」では、速水御舟のクラシカルな《夜桜》や現代の日本画を代表する作家の一人、千住博のシックな《夜桜》、加山又造の構図の面白い《夜桜》(4/15〜5/11展示)など夜桜の競演を楽しむことができるでしょう。
「桜とともに」のコーナーでは、川合玉堂の《春風春水》や土田麦僊の《大原女》(4/15〜5/11展示)などの優品を観ることができます。
また、「春の花」では、「春よ春」と題して、チューリップや芍薬、ポピーなどの作品が目を楽しませてくれます。
さらにミュージアムショップ後方の展示室では「春の王」と題して花王、富貴花とも呼ばれる牡丹を描いた作品を取り上げています。ここでは、鈴木其一の《牡丹図》や福田平八郎の屏風《牡丹》(3/11〜4/13展示)が展示され、花の宴のフィナーレを飾っています。
さて、たっぷり「富士と桜と春の花」を堪能したら、地下1階のミュージアムショップに立ち寄るのも楽しいかもしれません。
ショップでは、展覧会カタログはじめ、ポストカード、展覧会にちなんだ可愛いキャンディーボックスなどさまざまなオリジナルグッズが揃っています。
また、鑑賞後のティータイムやランチタイムには、1階の「CAFE 椿」がおススメ!
季節や開催中の展覧会に合わせたオリジナルメニューが用意されています。
特に、和菓子は、青山の老舗菓匠「菊家」に特別にオーダーしたオリジナルだとか。
ちなみに写真のティーセットの和菓子は、奥村土牛《吉野》を表現した「花がすみ」。
お茶は、すっきりした金粉入り緑茶です。
和菓子は、他にもいくつかご用意があるので、
お気に入りの日本画を和菓子でも楽しみ、ゆったりと和んでみてはいかが?
春の一日、JR恵比寿駅から程近い日本画専門の美術館、山種美術館にいらして開催中の
「特別展 富士山世界文化遺産登録記念 富士と桜と春の花」を楽しんでみませんか?
(2014年5月11日(日)まで)
日本の自然の美しさを再認識し、日本画の素晴らしさを再発見できることでしょう。
春休みのおでかけスポットとしてもおススメです。
尚、会期中以下のように、一部展示替えがあります。お目当ての作品がある場合などは、ご確認の上お出かけくださいね。
前期:3/11〜4/13
後期:4/15〜5/11
・浮世絵展示
T期:3/11〜3/30
U期:4/1〜4/20
V期:4/22〜5/11
本文中展示期間を明記していない作品は、全期間展示されます。
【赤ちゃん連れのお母様へ】
山種美術館はベビーカーで入館できます。
館内にはエレベーターが設置されています。
オムツ替えは1階のバリアフリートイレの
オムツ替えシートが利用できます。
このコーナーでは、お子様連れで楽しめる皆さまお気に入りの
ミュージアム情報を募集しています。
お問い合わせフォームから、是非お寄せください。
また、このコーナーへのご意見・ご感想もお気軽にお寄せくださいね。
お待ちしております。

山種美術館

横山大観 《霊峰不二》
1937(昭和12)年 山種美術館

渡辺始興 《氷室の節供図》
18世紀(江戸時代) サントリー美術館
後期(4/15 〜5/11)展示

山元春挙 《裾野の春》
1931(昭和6)年 山種美術館

片岡球子 《めでたき富士》
1991(平成3)年 東京美術倶楽部 東美ミュージアム

奥村土牛 《吉野》
1977(昭和52)年 山種美術館

千住博 《夜桜》
2001(平成13)年 山種美術館

鈴木其一 《牡丹図》
1851(嘉永4)年 山種美術館

「CAFE 椿」 お茶セット
山種美術館
住所:東京都渋谷区広尾3−12−36
TEL:03−5777−8600(ハローダイヤル:電話受付時間8:00〜22:00)
開館時間:
午前10時〜午後5時
(入館は午後4時30分まで)
休館日:
月曜日(但し、4/28 5/5は開館、 5/7は休館)
詳しくは、直接お問い合わせいただくか、
山種美術館をご覧ください。
*掲載許諾・取材協力:山種美術館
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