アート&カルチャー


第105回 京都国際マンガミュージアム
KYOTO INTERNATIONAL MANGA MUSEUM
(京都市中京区)

先月、久々京都に取材をかねて紅葉狩りにでかけました。

紅葉の名所東福寺や永観堂はもとより洛北の光悦寺などでも 外国人観光客が多いのに驚きました。

特に中国や韓国からと思しきアジア系観光客が多かったようです。

一方欧米系観光客の多さに目をみはったのが「京都国際マンガミュージアム」。

今までご紹介してきたミュージアムの中ではみられない情景です。 日本のマンガ文化の世界への広がりを実感した場となりました。

そこで、今回はそんなマンガ文化の諸相を調査・研究・展示している 「京都国際マンガミュージアム」を取材してきましたので、ご紹介しましょう。

京都国際マンガミュージアム
http://kyotomm.jp

京都国際マンガミュージアムは、京都市とマンガ学部のある京都精華大学の共同事業で 2006 年 11 月 25 日に京都市の中心烏丸御池に開館しました。

図書館機能と博物館機能を兼ね備えた日本初のマンガの総合文化施設です。

そのコレクションは、明治の雑誌や戦後の貸本などの貴重な歴史資料や 現在の人気作品、海外の名作まで約30万点にものぼるとか。

この膨大な資料をもとに進められる調査研究の成果は、展示として発表されるほか マンガに関するワークショップやセミナーなども随時開催されています。

ミュージアム建物は元龍池小学校の昭和4年建造等の校舎をリノベーションしたもの。

アクセスは極めて簡単で、京都市営地下鉄 烏丸線・東西線の烏丸御池駅2番出口より階段を登りUターン 、烏丸御池交差点の北西角を左折し、烏丸通を北へ歩くこと2分 。

都会では珍しい広々した人工芝の前庭広場に面して建つレトロモダンなデザインが印象的な建物が、 京都国際マンガミュージアムです。

エントランスを入り、チケットを購入、早速館内を巡ってゆきましょう。

まず目に飛び込んでくるのが、「マンガの壁」。マンガミュージアムが所蔵するマンガ資料のうち、 1970年代から2005年くらいまでに発行されたマンガ単行本約5万冊が、 館内1F〜3Fにある書架「マンガの壁」にびっしり並べられている様は圧巻!

これらのマンガ本は、どなたでも自由に手にとって館内や芝生の上などで読むことができるのですから、 マンガ好きにはたまらない施設ですね。

エントランス奥には翻訳された日本マンガと海外で出版されたコミックス約5500冊が設置されている 「マンガ万博」のコーナーがあります。

書架を囲んで外国人の来館者が熱心に本を読んだり、選んだり。このあたりは、外国人コーナーといってよいほど。

日本マンガの英語、ドイツ語、フランス語などの翻訳語版や様々なデザインの海外コミックスなど 他ではなかなか手に取ることができない日本人にも興味深いコーナーです。

さて、次のコーナーは、、毎週土、日、祝日に開催される「マンガ工房」。プロとして活躍されているマンガ家が、 原稿用紙に絵を下描きするところから完成まで見せている珍しいコーナー。

その奥には「こども図書館」が設置されています。

「こども図書館」には、小さなお子さまが楽しめるマンガ本や絵本が約3000冊取り揃えられています。元は職員室だった広々とした 閲覧スペースに靴を脱いで上がり、マンガや絵本を手にとって思い思いのスタイルで楽しめるお子さま連れには嬉しいコーナー。

平日はどなたでも利用できますが、混雑時(特に土・日・祝)は小学生以下のおこさま連れのみが利用できるスペースとなっています。

1Fには、龍池小学校時代の重厚な校長室も公開されています。室内の古時計は修理され、今も時を刻み続けています。

また、1、2Fの壁面には、174人のマンガ家が描いた個性豊かな舞妓さんのイラストが展示されています。京都ならではの展示、お見逃しなく。

さて、2Fに上がると「龍池歴史記念室」があります。こちらのミュージアムの前身、1869年(明治2年)に龍池学区民の寄付によって創設された 龍池小学校の歴史が紹介されています。

また、懐かしい紙芝居から新しい作品まで、紙芝居の実演を楽しめる「えむえむ紙芝居」も毎日開催されていますので、お時間を合わせて 体験するのも楽しいでしょう。

2F吹き抜けには、日本マンガの発展に偉大な足跡を残した手塚治虫の代表作のキャラクター「火の鳥」の巨大オブジェが展示されています。 京都市が伝統産業製品の魅力を広く発信するために取り組んでいる「京もの活用事業」の一環として仏像彫刻の技術によって製作された美しい作品です。

そして、いよいよ2Fメインギャラリーに到着です。このギャラリーでは「”マンガ”ってなに?」という疑問に答えた興味深い展示が 11のテーマで展開されています。

@幕末の風刺漫画誌から現代のケータイまで、マンガメディアの変遷をたどる「マンガメディア年表」、 A年齢・性別で細かくセグメントされた日本のマンガ雑誌の多様性を紹介する「マンガ人生年表」、 B政治風刺や情報収集など、マンガが娯楽以外に持っている社会的機能を紹介する「マンガは子ども向けのものなの?」。

Cアニメについて解説する「テレビマンガってなに?」、Dマンガの作画工程や作画風景を紹介する「マンガの作り方」、 Eマンガの決まりごとを解説する「『お約束』でできているマンガ」、 F赤塚不二夫のギャグマンガを素材に「『お約束』をやぶるマンガ」。

G産業としてのマンガを解説する「マンガ家ってお金持ちなの?」、 H日本マンガの産業構造について解説する「コスプレもマンガの一種なの?」。

I欧米・日本・アジアそれぞれのマンガが国際的に影響を与えあってきた様子を紹介する 「世界中の人がマンガを読んでる?」、最後に、 J日本の「マンガ」以外のコミックスやBD(バンドデシネ)など、多様なスタイルとメディアを紹介する 「世界のマンガ」という順にマンガについて体系的に解説する展示となっています。

順に展示を追ってゆけば、これであなたもマンガ通!?かも。

3Fには、マンガ上級者のための「研究閲覧室」もあります。

さて、こちらのミュージアムで現在開催されている企画展が「漫画家生活50周年記念 青池保子 華麗なる原画の世界 〜「エロイカ」から「ファルコ」まで〜」展。

「エロイカより愛をこめて」、「イブの息子たち」、「アルカサル−王城−」、「修道士ファルコ」など、 少女マンガの作家、青池保子さんの華麗な原画の世界を観ることのできる企画展です。 (2015年2月1日(日)まで)

その他、毎週 金・土・日曜、祝日には「似顔絵」コーナーや 「えむえむワークショップ」なども開催されていますので、詳細をHPでご確認の上参加されては?

充実した内容のミュージアムでたっぷりとマンガの世界を楽しんだら、1Fミュージアムショップに立ち寄るのもいいかも。 ミュージアムオリジナルグッズや京都国際マンガミュージアムマスコットキャラクター「マミュー」のオリジナルグッズ、 翻訳コミックなど様々なアイテムが取り揃えられています。

また、一息入れたい時、カフェやランチにはミュージアム入口すぐのところにある「ミュージアムカフェ えむえむ」がおすすめ! カウンター席のある部屋の壁面には、これまでにこちらのミュージアムに来館されたマンガ家の方々の イラストやサインも見ることができます。

マンガファンはもちろんそうでない方も、京都にいらした折に京都国際マンガミュージアムに立ち寄って、 入館者の1割を占めるという外国人の方々とともにマンガの世界を楽しんでみませんか?

京都国際マンガミュージアムはマンガの総合文化施設。お気に入りのマンガ本を読みふけるもよし、 マンガについて色々学ぶもよし、イベントに参加するもよし、あなたなりの楽しみ方で 神社仏閣だけでない京都での素敵な時間を過ごすことができるでしょう。

冬休みのお子さま連れのお出かけスポットとしてもおススメです。  











【赤ちゃん連れのお母様へ】
「京都国際マンガミュージアム」はベビーカーで入館できます。
オムツ替えは1Fの多目的トイレにオムツ替え専用ベッドがあります。 授乳をされる方は、休憩室のご用意がありますのでスタッフの方へお尋ねください。






このコーナーでは、お子様連れで楽しめる皆さまお気に入りの ミュージアム情報を募集しています。 お問い合わせフォームから、是非お寄せください。
また、このコーナーへのご意見・ご感想もお気軽にお寄せくださいね。
お待ちしております。




京都国際マンガミュージアム

京都国際マンガミュージアム

マンガの壁

1F マンガ万博コーナー

1F こども図書館

2F えむえむ紙芝居

2F 火の鳥オブジェ
©手塚プロダクション

2F メイン展示室(メインギャラリー)


2F 「漫画家生活50周年記念 青池保子
  華麗なる原画の世界
〜「エロイカ」から「ファルコ」まで〜」展

1F 似顔絵(金・土・日曜・祝日開催)

1F ミュージアムショップ
京都国際マンガミュージアムマスコットキャラクター「マミュー」
オリジナルグッズコーナー







施設情報

京都国際マンガミュージアム  

住所:
京都市中京区烏丸通御池上ル(元龍池小学校)

TEL:075-254-7414 (代) 

開館時間:午前10時〜午後6時
(入館は午後5時30分まで)

休館日:水曜日(祝日の場合は翌日)
年末年始、メンテナンス期間
*内容・期間等に関しましては、変更の可能性があります。

詳しくは、直接お問い合わせいただくか、
京都国際マンガミュージアムをご覧ください。

*取材協力・掲載許諾:京都国際マンガミュージアム
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