一雨ごとに秋が深まり、紅葉の美しい季節となりました。
数ある紅葉の名所の中でも華やかな秋を一番感じるのが京都でしょうか?
永観堂や東福寺の鮮やかな紅葉、天龍寺をはじめとした錦織りなす景観も格別です。
しかも今年の京都の秋は、紅葉だけでなく美術も豪華!!
京都国立博物館で開催中の「京都国立博物館開館120周年記念 特別展覧会『国宝』」や京都文化博物館で開催中の
特別展「ウッドワン美術館コレクション 絵画の愉しみ、画家のたくらみ―日本近代絵画との出会い―」など
見逃せない展覧会が目白押し!
そこで、今回は、京の街歩きの拠点としても最適な京都文化博物館(通称ぶんぱく)を取材してきましたので、
ご紹介しましょう。
京都文化博物館
http://www.bunpaku.or.jp/
京都文化博物館は、京都の歴史と文化をわかりやすく紹介する総合的な文化施設として1988年(昭和63)に開館、
2011年(平成23)のリニューアルを経て今日に至っています。
多彩な特別展を開催するほか、総合展示室では、京都の歴史や文化、京都ゆかりの美術工芸作家の作品を紹介。
フィルムシアターでは、京都府所蔵の名作映画を順次上映しています。
また、美しいレンガ造りの別館(重要文化財)や江戸時代末期の京都の町家格子の町並みを再現した
ろうじ店舗など見所満載!
アクセスは、地下鉄「烏丸御池駅」下車が便利。駅5番出口から出て、三条通りを東へ徒歩約3分ほどで、
明治の洋館らしい優美なファサードをもつ京都文化博物館別館に到着します。
別館は、日本近代建築の祖といわれる辰野金吾とその弟子・長野宇平治が設計し、1906年(明治39)
に竣工した旧日本銀行京都支店。明治の代表的洋風建築として国の重要文化財に指定されています。
京都文化博物館の開館に際し当初の姿に修理復元、保存するとともに、無料で公開されています。
三条通エントランスから入ると銀行として使われていた当時がしのばれる吹き抜けの天井、
繊細な建具など細部にも手の込んだ内装のホールが広がっています。
かつて営業室だったホールに入り、凝った作りの天井をながめると天井にも窓があるのに気付きます。
これは、屋根から自然光を取り入れるための窓。ドーマー窓という屋根の突き出した小窓から光を
とりいれる窓なのだそうです。
続いて、かつては所長室や文書課室などで、今はショップが入るエリアを抜け、中庭を通り、本館に向かいます。
総合案内(チケット売り場)で、チケットを購入し、早速3、4階で開催中の特別展
「ウッドワン美術館コレクション 絵画の愉しみ、画家のたくらみ―日本近代絵画との出会い―」(2017年12月3日(日)まで)
にエレベーターで向かいます。
今回の展覧会は、絵画を愉しむコツ、特に日本近代絵画の名品の愉しみ方を画家の描いた主題や題材、
描き方の違いなどにフォーカスして紹介するというユニークな展覧会。
ウッドワン美術館コレクションの中から横山大観、上村松園、浅井忠、黒田清輝、藤田嗣治、梅原龍三郎、
岸田劉生など日本近代絵画の巨匠たちの優品を「T 歴史を描く」、「U 裸婦を描く」、「V 女性を描く」、
「W 人物群像を描く」、「X 富士山を描く」、「Y 山水・風景を描く」、「Z 動植物を描く」という
7つのテーマにより構成・展示しています。
プロローグの「日本画と洋画」では、東洋伝統の山水画に西洋画の手法をとりいれた橋本雅邦の「紅葉白水図」に目が留まります。
「U 裸婦を描く」では、めずらしいモチーフの藤田嗣治の「EVE」や熊谷守一の「裸」と「裸婦」の対比などが
興味を引きます。
「V 女性を描く」のコーナーは豪華なラインアップです。
まず、黒田清輝の「木かげ」が展示されています。ぐみの実をちぎっている横たわる女性、
かたわらの麦わら帽子の上には、百合の花が描かれています。
情景に木漏れ日のつくる光と影を描いた魅力的な作品です。
そして、愛娘麗子の肖像画シリーズで有名な岸田劉生の「毛糸肩掛せる麗子肖像」が独特のオーラを放っています。
劉生は多数の麗子像を油彩、水彩、素描で描いていますが、今回の展覧会では、2点の麗子像が展示されています。
1点は、麗子3歳の時の水彩画、もう1点が麗子7歳の時の油彩画です。3歳の水彩画は早い時期の作品、7歳の油彩画は、
丁寧に精緻に書き込まれている秀作。2点の作品の対比が興味深い展示です。
次は、女性として初めて文化勲章を受章した近代美人画の巨匠、上村松園の描いた「舞仕度」。完成度の高さが際立つ作品。
スケッチをくりかえしたといわれる指先の繊細な表現は見事!また、舞仕度をしている女性の緊張感と地方の女性たちのくつろいだ様子、
その対比を2面で描いているのも魅力です。
「W 人物群像を描く」コーナーの見どころは、藤田嗣治の「大地」。ブラジルのコーヒー農園を描いた大型壁画。
ブラジルの大地で働く人々や動物たちを色彩豊かに描いています。
「X 富士山を描く」では、梅原龍三郎の「富士山図」や林武の「赤富士」など個性豊かな富士山が並びます。
そして、「Y 山水・風景を描く」では、小野竹喬の「夕空」の茜色が印象的!
また、佐伯祐三のパリ風景「(表)パリの裏街」、「(裏)ロカション・ドゥ・シボー」が
心に残ります。
最後のテーマ「Z 動植物を描く」では、古賀春江の「花」や岡鹿之助の「献花」などがフィナーレを飾ります。
アート初心者から、ベテランのアートファンまで愉しめる、良質な美術コレクションを誇るウッドワン美術館の名品86点。
見ごたえありました。
また、麗子肖像から抜け出したキャラクター、「れいこちゃん」が絵画を愉しむコツを指南してくれるので、
アートビギナーやお子さまも愉しむことができるでしょう。
尚ウッドワン美術館は、広島県北西部の西中国山地に平成8年9月に木質建材メーカーである株式会社ウッドワン(旧 住建産業)の
所蔵する美術品約1000点を展示・公開するために開館した美術館です。
ウッドワン美術館
http://www.woodone-museum.jp/
さて、特別展「ウッドワン美術館コレクション 絵画の愉しみ、画家のたくらみ―日本近代絵画との出会い―」を
堪能したら、総合展示室に向かいましょう。
総合展示室には、1200年の京都の歴史を紹介する「京の歴史」、祇園祭にフォーカスして、山鉾町に伝わる数々の名品を中心に
さまざまな資料を展示する「京のまつり」、京都の奥深さと幅広さをさまざまな角度から紹介する
「京の至宝と文化」の3つのゾーンがあります。
「京の至宝と文化」では、2017年(平成29)12月24日(日)まで「木島櫻谷の世界」展が開催されています。
明治から昭和にかけて活躍した京都の日本画家・木島櫻谷(このしま おうこく:1877〜1938)。
京都の旧家から新たに発見された作品を中心に櫻谷の繊細華麗な作品世界を紹介する展覧会です。
お見逃しなく!
1Fのミュージアムショップでは、展覧会図録をはじめ、さまざまなアイテムが揃っていますので覗いてみては?
また、江戸時代末期の京都の町並みを再現した「ろうじ店舗」には、和食やそばなどのお食事処や
京物とよばれる伝統工芸品、京の名産品が取り揃えられています。
また、旧日本銀行京都支店金庫室を改装したカフェも利用できます。
秋の1日、紅葉見物がてら、街歩きがてら京都文化博物館に立ち寄ってみてはいかがでしょうか?
絵画を愉しむコツがちりばめられた特別展「ウッドワン美術館コレクション 絵画の愉しみ、画家のたくらみ―日本近代絵画との出会い―」
でアートビギナーもベテランアートファンも日本近代絵画の名品を愉しむことができるでしょう。(2017年12月3日(日)まで)
また、京都文化博物館別館(重要文化財)で明治の代表的洋風建築を観たり、総合展示で京の歴史や文化をもっと知れば、
京都をさらに愉しめるようになるかもしれません。
展覧会はもちろん、ショップや飲食店も充実していますので、四季折々訪れることもおすすめです。
【赤ちゃん連れのお母様へ】
・京都文化博物館はベビーカーで入館できます。
・オムツ替え専用シートは本館1階トイレ(男性用・女性用とも)に設置しています。
・授乳の場合は、救護室を利用できますので、受付までお申し出ください。
(混雑時はお待ちになる場合もあります。)
このコーナーでは、お子様連れで楽しめる皆さまお気に入りの
ミュージアム情報を募集しています。
お問い合わせフォームから、是非お寄せください。
また、このコーナーへのご意見・ご感想もお気軽にお寄せください。
お待ちしております。
京都文化博物館別館
京都文化博物館別館 入口
京都文化博物館別館 ホール
京都文化博物館本館
黒田清輝
「木かげ」
1898年
岸田劉生
「毛糸肩掛せる麗子肖像」
1920年
上村松園
「舞仕度」
1914年
木島櫻谷
「初夏・晩秋」
明治36年
*前期展示(12月10日まで)
左:ミュージアムショップ、右:ろうじ店舗
別館と本館の間の中庭にあるカフェ
京都文化博物館
(京都府京都文化博物館)
住所: 京都市中京区三条高倉
TEL:075-222-0888
開館時間:
・総合展示
10時−19時30分(入場は19時まで)
・特別展
10時−18時
*毎週金曜日は19時30分まで延長
(入場はそれぞれ30分前まで)
・別館
10時−19時30分(各種イベント時は別)
・ろうじ店舗
営業時間は店舗によって異なります。
詳細はお問合わせください。
休館日:
月曜日(祝日は開館、翌日休館)
12月28日〜1月3日
展示ごとに休室日を設けることが有ります。
(事前にHP等でご確認ください。)
入館料:
・総合展示
一般 500円/大学生 400円/高校生以下無料
・特別展は展覧会によって料金が異なります。
*「ウッドワン美術館コレクション
「絵画の愉しみ、画家のたくらみ―日本近代絵画との出会い―」展
一般/ 1,300円/大高生900円/中小生400円
詳しくは、直接お問い合わせいただくか、
京都文化博物館
をご覧ください。
*取材協力・掲載許諾:
京都文化博物館
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