第 10 回 クリュニー国立中世美術館(Musee National du Moyen Age)〜カルチェ・ラタン(Quartier latin)界隈



”Flânerie ”(そぞろ歩き)第10回目は、前回に引き続き、パリ左岸5区。今回はヨーロッパ中世美術の殿堂、クリュニー中世美術館からカルチェ・ラタン界隈を歩きます。

カルチェ・ラタンというのは、左岸、5区と6区にまたがる、ソルボンヌ大学をはじめ大学が集中するエリア。カルチエは「地区」、ラタンとは「ラテン語」のことで「ラテン語を話す学生が集まる地区」ということですね。

サン・ミッシェル通りとサン・ジェルマン通りのクロスするあたりにガロ・ローマ遺跡(T〜V世紀)クリュニー館から成る国立中世美術館(クリュニー美術館)があります。

クリュニー美術館(Musee National du Moyen Age)
http://www.musee-moyenage.fr/



15世紀後半に建てられたクリュニー修道院の邸宅を用いた館内には、15〜16世紀の中世の絵画、彫刻、調度品などが展示されています。

これら作品は、中世美術のコレクター、アレクサンドル・ドュ・ソメラール(Alexandre Du Sommerard)のコレクションが中心です。

中でもヨーロッパ中世美術の最高傑作の一つであるといわれる《貴婦人と一角獣(six La Dame a la Licorne)》の6つのタピスリーで有名です。



パリの美術館の中でもルーブル美術館、オルセー美術館に次ぐ重要な美術館。子どもたちの見学も多いですね。小学校の課外活動も行われているよう。



高い外壁に囲まれた建物も必見!

14世紀にブルゴーニュ地方のクリュニー大修道院長により建てられ 1485年から1500年にかけて、ジュミエージュ大修道院長だったジャック・ダンボワーズによって立て直されたパリに現存する15世紀の館を代表する美しい建物です。



クリュニー美術館からパンテオン方面に進むとソルボンヌ大学のエリア。 大学入り口では、セキュリティーチェックが実施されています。 昔は、チェックなどなかったのですが・・・



ソルボンヌ大学といわれるのは、実は、パリ大学13校のうちの一部。 第1、第3と第4大学はソルボンヌを冠し、12世紀以来の伝統的教育をおこなっているとか。

・パリ第1大学 (パンテオン・ソルボンヌ):法学・歴史学・哲学・政治学
・パリ第3大学 (新ソルボンヌ):文学・東洋語
・パリ第4大学 (パリ・ソルボンヌ):文学・語学

パリ大学は、ボローニャ大学やオックスフォード大学などと共に、ヨーロッパ最古の大学の一つで、その起源は1150年 〜 1170年まで遡ります。

ソルボンヌは、1257年にルイ9世の宮廷司祭であったロベール・ド・ソルボン(Robert de Sorbon, 1201年-1274年)が貧しい神学部学生のためにソルボンヌ学寮を設立。 1259年に教皇の許可を得ると神学部、さらにはパリ大学そのものの代名詞となったとか。



中世以来の学生街らしい雑多な雰囲気のある小さな裏通りがあるのもカルチェ・ラタン。



アカデミックなエリアですが、宮崎アニメのキャラクターがウィンドウディスプレイされている本屋さんもあるのが今風。

今時の学生街は世界共通?!



オーガニックのパン屋さんも繁盛しています。 これも今時の共通事象かも知れません。