第 12回 シュノンソー城(Château de Chenonceau)とシュヴェルニー城(Château de Cheverny)



”Flânerie ”(そぞろ歩き)第12回目は、前回に引き続きパリの南西ロワール地方の古城の中でも女性的な繊細さと優美な魅力をたたえる2つのお城を歩きます。

まず初めに訪れるのはシュノンソー城。

シュノンソー城(Château de Chenonceau )
http://www.chenonceau.com/

すでに11世紀にはロワール川の支流、シェール川流域の小さなシュノンソー村に建てられていたそうです。製粉所から始まりマナーハウスとして使われてきた経緯があります。

現在の建物は、フランスルネサンスの建築家、フィリベール・デロルメ( Philibert Delorme)の設計。

何回もの改装を重ねてきましたが、基本は後期ゴシックと初期ルネサンスの交じり合った建築です。



16世紀から19世紀まで 城主が代々女性だったので、 フランス史で「貴婦人たちの城」≪ Chateau des Dames ≫ と呼ばれています。

シュノンソー駅前のパーキングからエントランスを通り、木立に囲まれた気持ちの良い並木道を歩いていくと、広々とした芝生に囲まれた開放的な庭園に出ます。

その先には、マルクの塔が。13世紀から16世紀の初頭にかけてこのお城がマルク家の所有する城であった痕跡。美しく装飾されたキメラと鷲とからなる紋章も残されています。



塔の背後にはシェール川に浮かぶように建てられた優美なお城が佇んでいます。



川を巧みに取り込んだというか外からも内からも川の景観を存分に楽しむことを可能にしたデザインがなんともステキなフランスでも珍しい建築です。

お城の左手には礼拝堂が付設されています。

城内の歴代女性城主の絵画コレクションや室内装飾は見ごたえがあります。特にシェール川に建てられた橋脚の二箇所を使った台所は見所!

また、室内随所に活けられたフラワーアレンジはセンス抜群でステキです。

シュノンソー城のもうひとつの魅力は庭園。 カトリーヌ・ド・メディシス庭園とディアーヌ・ド・ポワチエ庭園です。 川と空の間に、自然と建築の間に飛び切りエレガントな空間を作っています。

カトリーヌ・ド・メディシス庭園はシェール川に浮かぶ城館を愛でることのできる絶好のポイントでもあります。

深い緑を背景にしたこじんまりとしたバラの庭園を散策し往時をしのぶのもいいかも。



一方ディアーヌ・ド・ポアチエ庭園は、写真の芝生の先にあるテラスと壁に囲まれ、8つの三角形の芝生を基本とする広大な整形庭園です。

中央には個性的な噴水が設置されていてモダンな雰囲気をかもしだしています。

庭園にはこのお城の庭園を支えるPOTAGERと称する庭もあります。

ポタジェとは菜園を意味するフランス語であり、果樹、野菜、ハーブ、草花などが栽培されるどちらかというと実用的な庭。

このポタジェは館内の装飾用アレンジメントのための切花や庭園の植え替えで使われる花々が植栽されているのでしょうか?



さらにシュノンソー城の庭園にはロバの公園≪ le Parc aux Anes ≫もあり お子様たちには喜ばれること請け合い!



シュノンソー城は館内だけでなく庭園も楽しめるご家族の漫ろ歩きにおススメのスポットですね。

さて、次にご紹介するのが、ソローニュの森の外れに建つ、シュヴェルニー城です。

シュヴェルニー城
http://www.chateau-cheverny.com

こじんまりしたジャック・ブジエ(Jacques Bougier)設計の白亜の館。 ルイ18世の古典派様式のシンメトリカルな姿が印象的。



17世紀に建設されてから同一家系がオーナーとして、現在もその子孫が城館内に 居住されているとか。

このお城で結婚式もできるそう。



またこのお城、有名なベルギーの漫画家・エルジェによって描かれた漫画、『タンタンの冒険旅行』にでてくるお城のモデルになったとか。

ロアール地方にはまだまだたくさんの魅力的なお城が点在しています。
そして、それをとりまく庭園もステキ!

漫ろ歩きにはもってこいの地方です。

フランスにいらしたら是非訪れてみてください。
季節の良い時期ならまるで、印象派の絵画を思わせる光景を目にすることができるでしょう。