特集: flânerie(そぞろ歩き)

<錦秋の京都を巡る>

第4回 永観堂、南禅寺界隈を巡る



「モミジの永観堂」と平安の昔から歌われ、親しまれてきた紅葉の名所永観堂は、 正式名称、聖衆来迎山 無量寿院 禅林寺(通称永観堂)という 京都市左京区にある浄土宗西山禅林寺派総本山の寺院です。

緑深い広大な境内には、多宝塔を頂点に本堂、御影堂、 釈迦堂阿弥陀堂はじめ多数のお堂や寺院、池が点在し壮大な景観を誇っています。、



11月半ばごろからは、本堂や庭園を囲む約3000本のイロハモミジやヤマモミジが 見頃!



池泉回遊式庭園や多宝塔、御影堂などが紅葉で 錦に飾られ華やぎます。



エレーベータで上がることもできる多宝塔からは紅葉の向こうに 京都の街を見渡すこともできるとか。

広大な永観堂境内を巡った後、庭園の池のそばに設えられた 茶店で紅葉を眺めながらいただいた御ぜんざいのおいしさは格別!



一か所で充分錦秋の京都を満喫できる寺院。



古来から「モミジの永観堂」と称されるのもうなずけます。

DATA
永観堂
京都市左京区永観堂町48
TEL :075-761-0007
http://www.eikando.or.jp/




さて、次に向かうのが、南禅寺。永観堂の近隣と聞いて侮ってはいけません。

双方とも大伽藍を誇る寺院ですから移動のために、そこそこ歩くのを覚悟で。 途中野村美術館などもありますので、立ち寄るのもいいかもしれません。

南禅寺は、臨済宗南禅寺派大本山の寺院。山号は瑞龍山、寺号は太平興国南禅禅寺。 京都五山および鎌倉五山の上におかれる別格扱いの寺院で、日本の全ての禅寺のなかで 最も高い格式をもつ寺院だそうです。

、 広大な境内に足をふみいれると、勅使門、三門、法堂、方丈(国宝)が一直線に並ぶ 品格のある佇まい。



歩を進めると、藤堂高虎の寄進だといわれる三門(重文)が堂々と聳えています。 三門とは、仏道修行で悟りに至る為に透過しなければならない三つの関門、 空、無相、無作の三解脱門を略した呼称だそう。 この三門は別名「天下竜門」とも呼ばれ、日本三大門の一つだといわれています。



法堂の奥に控える方丈(国宝)は、大方丈と小方丈からなり、大方丈は、入母屋造、柿(こけら)葺。 小方丈は、背面切妻造、前面は大方丈に接続する、柿(こけら)葺となっています。 方丈内にある狩野派作品、庭園など美しく気品のある建物も魅力的です。



大方丈の前庭(名勝)は、小堀遠州作「虎の子渡し」と言われる 江戸初期の代表的な枯山水庭園として知られています。



小方丈庭園は別名「如心庭」と呼ばれる 「心」字形に庭石を配した枯山水の禅庭園になっています。



一転して、杉苔の中に配石された景石が美しい庭が六道庭 。 六道輪廻の戒めの庭です。六道輪廻(天上・人間・修羅・畜生・餓鬼・地獄)の 世界を我々は生まれ変わり続けるという仏教の世界観を表現しているとか。



さらに南禅寺垣に囲まれた庭もあり、バラエティ豊かな庭園美を楽しむことができます。



方丈見学の最後にほっと一息、緑を前に小さな「清涼の滝」の音を聞きながら、 落雁とお抹茶をいただき癒されるひと時を過ごしました。



さて、この写真の山深い庭は、方丈からさらに山側に上った南禅院の庭です。亀山天皇は、 正応2年(1289)離宮で出家して法皇となられ、離宮を寄進して禅寺とし大明国師を開山とされました。 ここは亀山天皇の離宮の遺跡であり、また南禅寺発祥の地。庭園は当時のおもかげを残しています。 鎌倉時代末の代表的池泉回遊式で、京都の三名勝史跡庭園の一つに指定されています。



最後に琵琶湖疏水の水道橋をご紹介しましょう。滋賀県大津市で取水され、 南禅寺横を通り京都市東山区蹴上迄の区間で水動力などにつかわれていた 水路閣です。



赤煉瓦のアーチを思わせる水道橋は、ヨーロッパのどこかの遺跡のようにも見え ここが寺院の境内だということを忘れそう。



不思議な景観を形作っているエリアでした。

DATA
南禅寺
京都府京都市左京区南禅寺福地町
TEL:075-771-0365
http://www.nanzen.net/index.html

さて、永観堂も南禅寺もあまりにも広大で見どころもいっぱい! 今回のフラネリーはここまでにしましょう。続きは次回。お楽しみに!