特集: flânerie(そぞろ歩き)
<四季折々の京都>
第6回 きぬかけの路
京都市北西部、衣笠山の麓に点在する金閣寺、龍安寺、仁和寺などをめぐる散歩路は、
「きぬかけの路」といわれています。
その名前の由来は、仁和寺を創建した宇多天皇が、真夏に「雪見をしたい」といわれ、
「衣笠山に白い絹を掛けた」という故事によるとか。
三か所の世界遺産を巡る全長約2.5キロメートルの緑豊かな観光道路は、
金閣寺から龍安寺までは徒歩約16分、龍安寺から仁和寺までは徒歩約11分。
途中「堂本印象美術館」もあり春のそぞろ歩きには最適!(2017年1月から2018年春頃まで休館中)
というわけで、今回は、金閣寺から「きぬかけの路」をそぞろ歩きます。
金閣寺は、臨済宗相国寺派の塔頭の一つで正式には、鹿苑寺金閣寺と呼ばれます。
元は鎌倉時代の公卿、西園寺公経の別荘を
室町幕府三代将軍の足利義満が譲り受け、
山荘として造営したのが始まりとされています。
修学旅行生や外国人観光客の間から
ようやく黄金に輝く舎利殿「金閣」を撮影。
庭園を巡れば、緑滴る中すっきりと走る
「金閣寺垣」の小道が奥行を感じさせます。
小さな滝もしつらえられていて、ヴァラエティに富む
景観が楽しめます。
DATA
臨済宗相国寺派 鹿苑寺金閣寺
京都市北区金閣寺町1
TEL:075-461-0013
http://www.shokoku-ji.jp/
金閣寺と龍安寺の中間あたりに外壁デザインの
ひときわ個性的な「堂本印象美術館」があります。
(2017年1月から2018年春頃まで休館中)
京都生れの日本画家、堂本印象(1891-1975)がみずからの作品を
展示するために建てた美術館です。設計から調度にいたるまで彼の作品。
堂本は、西陣織の図案デザイナーから日本画家を目指し、
京都市立絵画専門学校に入学後日本画家としての才能を発揮、
オリジナリティー溢れる日本画家として活躍しました。
戦後は、社会風俗画など独自のモチーフを描き、
昭和30年以降は抽象表現の世界を展開。
昭和41年、現在の地に自作を展示する堂本美術館を
開設しました。
多様な技法を駆使し、さまざまな画題をこなす画才により
各地の寺社仏閣の障壁画に多くの作品を残したことでも知られています。
日本画だけでなく、洋画・抽象画・彫刻など多様な堂本印象の作品を
所蔵・展示する美術館です。
(但し、2017年1月から2018年春頃まで休館中ですので、ご注意ください!)
DATA
京都府立堂本印象美術館
京都市北区平野上柳町26-3
TEL:075-463-0007
http://insho-domoto.com/index-j.html
早朝から、龍安寺庫裡にぞくぞくと海外からの観光客と修学旅行生が入っていきます。
わずか75坪の方丈庭園に15個の石を配した石庭を前に世界各国から来訪した観光客と
日本の各地から集まった学生達が、石の数を数え、この寺の刻印・作庭・遠近・土塀などの
謎解きにしばしの時を過ごしています。
まさにインターナショナルな思考の場。
こんな庭が他にあるでしょうか?
龍安寺石庭、日本が世界に誇る庭に間違いはないでしょう。
石庭を鑑賞したら大徳寺家によって築かれた鏡容池を巡り
自然の中でリフレッシュして次に向かいましょう。
DATA
大雲山 龍安寺
京都市右京区龍安寺御陵下町13
TEL:075-463-2216
http://www.ryoanji.jp/
さて、緑深い龍安寺を後に、「きぬかけの路」をさらに進みます。
「仁和寺」は、京都市右京区御室にある真言宗御室派総本山の世界遺産に登録されている寺院。
皇室とゆかりの深い寺(門跡寺院)で、出家後の宇多法皇が住まわれたことから、「御室御所」といわれています。
重厚な二王門がそびえる入り口から中門を抜けると左手に御室桜、右手に五重塔が建っています。
その奥に御所の紫宸殿を移築した国宝・金堂があります。低木の御室桜は4月下旬が見ごろ。
今年2017年の御室桜を御覧下さい!
満開は例年に比べ遅いようですが、次々と立派な花を咲かせています。
DATA
真言宗御室派総本山仁和寺
京都市右京区御室大内33
TEL:075-461-1155
http://www.ninnaji.or.jp/
三つの世界文化遺産を巡る「きぬかけの路」。四季折々そぞろ歩いてみたい散歩道ですね。