特集: flânerie(そぞろ歩き)

<四季折々の京都>

第13回 京都散歩 曼殊院〜詩仙堂

12月となり、11月の初旬から始まった京都の紅葉もそろそろ終盤。 ぱっと咲いてさっと散る桜と違い徐々に進む紅葉の季節は長く楽しめますね。

それもあってか京都のベストシーズンは、春より秋と筆者は思いますが、 いかがでしょうか?

さて、今回そぞろ歩くのは、洛北エリアにひっそりと佇む紅葉の美しい名刹たち。

まずは、曼殊院です。アクセスは、市バスで 一乗寺清水町下車、東へ徒歩20分ほど。 (または、叡山電鉄:修学院駅下車徒歩約20分)

【曼殊院】
バスを降り、住宅街を抜け、ゆるやかな上り坂になっている並木道の参道をしばらく歩くと、 石垣と白塀をめぐらした勅使門が見えます。

この洛北屈指の名刹、曼殊院は、皇室一門の方々が住職であったことを意味する門跡寺院。 勅使門の両側の塀に残る五本の白い筋がその格式を今に伝えています。

国宝の黄不動画像や曼殊院本古今和歌集をはじめ、多くの文化財を所蔵してることでも知られる天台宗の寺院です。

建物は、大書院、小書院、茶室などからなり、書院庭園は武家の庭とも寺院の庭とも違う、 公家好みの庭となっています。

大書院前には遠州好みの枯山水庭園が広がり、水の流れをあらわした砂の中に鶴島と亀島が配されています。



小書院は静かに水面をさかのぼる屋形舟を表現しているそうです。鶴島にある樹齢400年の五葉松は 鶴を表現し、その根元には曼殊院型のキリシタン灯篭があります。



大書院の周辺には、霧島つつじが植えられていて、5月のはじめ頃に深紅の花を咲かせるそうです。

その他にも、椿、梅、ソメイヨシノ、サルスベリ、笹リンドウ、サザンカなど花を咲かせる植栽が 四季を彩るのでしょう。

公家好み庭園、書院の内装には、釘隠しや引き手、欄間などが桂離宮と共通した意匠がみられるなど、 『小さな桂離宮』といわれるのもうなずけます。

書院、庭園ともに、多くの見どころある曼殊院門跡は、紅葉の時期だけでなく、 四季折々訪れたい名刹のひとつですね。

DATA
曼殊院門跡
京都市左京区一乗寺竹ノ内町42 
TEL:075-781-5010


【圓光寺】
さて、曼殊院を後に、詩仙堂をめざして、一乗寺郊外をそぞろ歩いていくと、途中に、圓光寺があります。、 日本最古の木活字 (重要文化財)や「十牛之庭」などで知られた臨済宗の寺院。 時間があればゆっくりそぞろ歩きたいお寺。



DATA
京都市左京区一乗寺小谷町十三番地
TEL:075-781-8025
http://www.enkouji.jp/

【詩仙堂】
さらに進むと、詩仙堂の竹造りのいかにも鄙びた山荘風エントランスに到着!



現在は、詩仙堂丈山寺という曹洞宗の寺院ですが、詩仙堂は、もとは、徳川家の家臣であった武将で 文人の石川丈山が隠居のために造営した草庵、山荘跡です。

名前の由来は、中国の詩家36人の肖像を掲げた詩仙の間に由来しているそうです。

詩仙は日本の三十六歌仙にならい林羅山の意見をもとめながら漢晋唐宋の各時代から選ばれ、 肖像は狩野探幽によって描かれ、詩仙の間の四方の壁に掲げられています。

竹林に囲まれた参道を上がると草庵入り口ががあります。まずは、「詩仙の間」から丈山自身が考案したという 庭園を眺めましょう。

庭園は紅葉を背景に白砂とさつきの刈り込みにリズム感のある美しいデザイン。



次に庭に降り、凸凹した地形を生かした庭園を巡りましょう。

ししおどしの音と秋の風情に丈山の詩心を感じるかもしれません。

DATA
丈山寺詩仙堂
京都市左京区一乗寺門口町27 
TEL:075-781-2954
http://www.kyoto-shisendo.com/

比叡山の西麓にあたる北洛のこのエリアは、静かに紅葉を楽しめるそぞろ歩きに最適なおすすめのスポットです。。