特集: flânerie(そぞろ歩き)

<四季折々の京都>

第24回 建仁寺界隈

京都の10月、紅葉で染まる前の比較的静かな情緒が味わえる季節です。

そぞろ歩きには最適!そこで、今回は、祇園にも近い建仁寺界隈を漫ろ歩きましょう。

建仁寺は、京都市東山区にある臨済宗建仁寺派大本山で 山号を東山(とうざん)。本尊を釈迦如来とする京都最古の禅寺です。

建仁2年(1202年)将軍源頼家が寺域を寄進し、栄西禅師を開山として 建立されました。

アクセスは、JR京都駅より市バス 206系統・100系統。市バス「東山安井」停より徒歩5分、市バス「南座前」より徒歩7分・ 市バス「祇園」より徒歩10分が便利です。

建仁寺伽藍には多くの塔頭がありますが、それでも往時の半分になっているとか。



まずは、拝観受付のため、本坊へ。

建仁寺の特徴というとなんといっても所蔵する珠玉の文化財! 筆頭にあげられるのが、俵屋宗達の《国宝・風神雷神図屏風》です。

本物は保存のため、京都国立博物館に寄託されていますが、建仁寺でも最新のデジタル技術で再現された 迫力あるレプリカを見ることができます。


《国宝・風神雷神図屏風》俵屋宗達

重要文化財に指定された建物、方丈内では、多くの絵画を見ることができます。


《建仁寺方丈障壁画》雲龍図 海北友松

中でもひときわ目をひくのが、雲龍図襖絵。海北友松(かいほう ゆうしょう・1533年ー1615年6月27日)の襖絵です。 海北友松は、安土桃山時代から江戸時代初期にかけて活躍した絵師。武士の身分に生まれながら絵筆を執った異色の経歴の持ち主です。

力強く描かれた龍の姿は迫力満点!桃山画壇最後の巨匠絵師として2017年、 京都国立博物館で大規模な回顧展が開催され話題になりました。

こちらも風神雷神図屏風と同様レプリカで、本物は京都国立博物館に寄託されています。



60歳を過ぎて、建仁寺の内部装飾を依頼された友松は、その才能を開花させます。大方丈の5室に52面の障壁画を描き、 ほかにも多くの塔頭に障壁画や屏風絵、掛幅などを収めます。やがて建仁寺は「友松寺」と呼ばれるまでになったとか。




禅宗方丈建築の特徴を備えた優美な建仁寺方丈から法堂への眺めも素晴らしい! 枯山水様式の庭園、「大雄苑(だいおうえん)」とともに見所です。



最後に法堂の天井画を観に渡り廊下で移動します。大迫力の天井画は2002年に、小泉淳作氏により描かれた「双龍図」です。 建仁寺の創建800年を記念して描かれました。

新旧のアートに彩られた見所満載の建仁寺。祇園、八坂など東山散策と合わせてそぞろ歩くのもいいかもしれません。

DATA
建仁寺
所在地:京都市東山区大和大路通四条下る小松町
電話番号:075(561)6363
Web:http://www.kenninji.jp/
京都国立博物館
https://www.kyohaku.go.jp/jp/
海北友松展について詳細は・・・
アート&カルチャー
第134回京都国立博物館
http://www.ktai-supli.jp/art/201705.html



【両足院】
建仁寺の塔頭のひとつ両足院は、建仁寺の開山・栄西禅師の法脈・黄龍派を受け継ぐ龍山徳見禅師を開山とする 臨済宗建仁寺派の塔頭寺院です。

庭園の美しさが有名です。通常は非公開寺院ですが、初夏と冬期に特別公開されます。

まず白砂と苔に青松が美しい唐門前庭、枯山水庭園の方丈前庭が禅寺らしい佇まい。







そして奥に京都府指定名勝の池泉回遊式庭園が広がります。

初夏には、半夏生の花々が生い茂り、池の周りはまるで白い花が咲いたように彩られます。







初夏の公開期間には、お庭を巡り、また、眺めながら、お茶室でお薄をいただくこともできます。






美しい緑のなかに白い半夏生が映えて、夢のような光景を 楽しむことができます。



初夏の公開に合わせて訪問されることをおすすめします。

DATA
両足院
京都市東山区大和大路通四条下ル4丁目小松町591
TEL:075-561-3216
https://ryosokuin.com/

建仁寺界隈、祇園や清水寺など京都の中でも最も賑やかな地域にあって、ひと時落ち着いて過ごせるおすすめのスポットです。