花と癒しのニュージーランド特集
第6回 フィヨルドランド 後編
ニュージーランドには魅力的な大自然のみどころが数多く存在しますが、
中でも最も有名な場所の一つがミルフォード・サウンドです。
フィヨルドランド国立公園ツアーのハイライトでもあります。
ミルフォード・サウンドは1000メートル以上の断崖絶壁が
海面から垂直にそそり立つ、世界でも珍しい
大規模なリアス式海岸。
タスマン海からは15キロ内陸まで入り込んでいます。
サウンドとは本来潮に侵食された海岸線だそうですが、
ミルフォードサウンドはこの辺り一帯の地形と同じように
20000年ほど前に氷河によって侵食されて形成されました。
マオリの伝説ではピオピオタヒ(マオリ語でミルフォード・サウンド)
は氷河が作った造形ではなくトゥ・テ・ラキ・ファノアという名のアトゥア(半神半人)が魔法の斧を使い、険しい崖や聳え立つ山々を彫りあげ、
フィヨルド地形を作ったのだと言われているそうです。
北へと向かって作業を続けるトゥ・テ・ラキ・ファノアは、
しばしば外海から吹き付ける嵐に見舞われました。
彼は、嵐を避けるために、海から内陸へと曲がりくねった入り江になったと
伝えられています。
雨の日は切り立った山の頂から水が滝のように流れ落ちます。
晴れの日もその痕跡として、山の頂から縦に幾重も線が走っているのを
確認することができます。
ラッキーであれば、快晴の空を背景に深いブルーの海底からそそり立つ
断崖の威容を楽しむことができます
ツアーは、セスナ機も運航していますが、この辺りの年間降水量が
三日に一度は雨ということなので、遊覧船によるクルーズが一般的でしょう。
午前7時ごろにクイーンズタウンを出発してミルフォードサウンド到着は
午後1時ごろになります。
ランチはツアーのバスの中で予め予約。
幕の内弁当を超スピードでいただき、デッキへ上ると
ラッキーなことに、行く手にイルカのカップルのジャンプを見ることができました。
標高1692mのマイターピークは海面から直接そそり立つ山としては世界一の高さと言われています。
デッキ上は紫外線量が日本の7倍ということもあり、晴天であれば、サングラスがなければ目を開けていられないほどの日差しです。帽子も必需品ですね。
一方運悪く、お天気が心配な時は雨具のご用意を。
しばらく息をのむような景観を楽しんでいると、船はタスマン海の大海原に対面します。
タスマン海、は太平洋の一部であり、オーストラリア南東部とニュージーランドに
はさまれた海域です。1642年にタスマニアとニュージーランド、フィジーなどを発見した探検家タスマンにちなんで命名されたそうです。
タスマン海から船は右に旋回すると今度はぐっと絶壁に近づいていきます。
シールロックではアザラシが気持ちよさそうにお昼寝をしているほほえましい姿に対面。
エレファント岩は本当にゾウにみえるから不思議。
船は落差160メートル水しぶきを上げるスターリン滝に近付きます。
思わずクルーズの人たちがざわめきます。
次々と展開される大自然に圧倒され、
一時間45分のクルーズはあっという間に終了。
帰路は同じ道を通ってクイーンズタウンへ。
雨具が全く不要な幸運に感謝しました。
それにしてもミルフォードサウンドの山々に比して
遊覧船が小さく見えること!
この原初の大自然がいつまでも残っているように祈らずには
いられません。