ドイツ・ファンタスティック街道と南仏の美しい村を訪ねて 
Fantastic Road in southwest Germany & the beautiful villages in French Riviera
7.サン・ポール・ド・ヴァンスとマーグ財団美術館(Saint-Paul de Vence &Fondation Maeght)

南西ドイツから南仏へと巡ってきた旅は、今回からいよいよニース近郊の美しい小さな 村巡りに向かいます。

コート・ダジュールの紺碧の海とシックな海岸リゾートは、あまりにも有名ですが、 実は、背後の山側に、無数の「鷲の巣村」と呼ばれる小さな美しい村々が点在して いることは見過ごされがち。 このあたりの地形が、ヨーロッパアルプスから続く山々が海岸近くまで迫っているのであれば、鷲が高い木の上や絶壁などに巣を造るように、人もまた、山頂や断崖の上に城壁を築き、住みかを造るもの。それは、遠く中世の時代に外敵の攻撃から村を守るための方策だったに違いありません。

今回は、そんな「鷲の巣村」の中でも規模が大きく、ニースからの足の便も良いサン・ポール・ド・ヴァンスと程近い現代美術のコレクションで有名なマーグ財団美術館をご紹介することにしましょう。

Saint-Paul de Vence
http://www.saint-pauldevence.com/index.html

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ニースから車で小一時間ほど北上すると、右手前方の緑の丘の上に教会の塔を中心に城砦に囲まれた褐色の街が見えてきます。



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徐々に近付いていくと、高い城砦の上に、教会に向かって家々がランダムに積み重ねられたような典型的な鷲の巣村だということに気が付きます。14世紀に創設されたという教会、16世紀に造られた城壁、中世の町並みを生かした旧市街は多くの観光客を惹きつけているよう。


城門に近い有料駐車場に駐車して、早速観光客で賑わう”大通り”という名の石畳のメインストリートを進みます。


この街の魅力は、中世の町並みだけでなく、近くに現代アートのファンを惹きつける美術館があったり、この地を気に入って多くのアーティストが在住し、ギャラリーが多いこともあげられるでしょう。路地の両側に並んでいる様々なギャラリーの看板を見て歩くのも、ウィンドウ越しにギャラリーを覗くのも、気に入ったギャラリーをひやかして歩くのも楽しいかもしれません。

中世の面影を色濃く残す街にはいたるところ迷路が。人ひとりがやっとの階段はどこにでるのでしょう。


街の城壁や展望広場からは、南仏特有のパノラマを楽しむことができます。南側は、ゆるやかに下る緑の谷間から地中海が顔をだし、北側は、南仏特有の白茶けた岩肌の山間から雪を頂いたヨーロッパアルプスを望むことができます。この街がピトレスクな(絵のように美しい)のは、外から街を眺めるだけでなく、街の内側からの眺望もさすのでしょう。


ギャラリーやショップが並び観光地化されているとはいえ、中世の生活が垣間見える遺跡も数多く残っています。

曲がりくねった狭い石畳の階段の両側にもアンティークショップや雑貨屋さんが並んでいます。 一休みしたい時は、眺めの良いカフェやレストランで。窓際に座れば、街の喧騒から逃れ、ゆったりとした中世の雰囲気に浸れるかも。


マーグ財団美術館 Fondation Maeght
http://www.fondation-maeght.com/

マーグ財団美術館 Fondation Maeght

サン・ポールの街からさらに10分ほど奥まった緑深い林の中に佇むユニークな建物が、マーグ財団美術館。1964年マーグ夫妻(Marguerite and Aime Maeght)が、 ボナール、ブラック、カルダー、シャガール、ジャコメッティ、レジェ、ミロなどの 作品を紹介するために設立された私立美術館です。 松林に囲まれた広い芝生の前庭にはミロ、アルプなどの彫刻が点在しています。

マーグ財団美術館 Fondation Maeght


館内には、シャガール、ブラックの絵画、カルダー、ティンゲリーのインスタレーション などが展示され、まさに20世紀美術の宝庫!20世紀以降の現代アートの企画展なども開催されています。

マーグ財団美術館 Fondation Maeght

しかし、なんといっても南仏の新鮮な空気と光の中、南仏の山や海を借景に展開されている野外展示こそが一番の魅力。タイルのテラスに並ぶジャコメッティの作品の数々、池に並ぶミロのユーモラスな彫刻、芝生の上のカルダーの作品などが庭園を散策しながら楽しめるのですから贅沢なものです。 ニースにいらしたら、サン・ポール・ド・ヴァンスの街まで足を伸ばして、マーグ財団美術館に立ち寄られることをおススメします。