ドイツ・ファンタスティック街道と南仏の美しい村を訪ねて 
Fantastic Road in southwest Germany & the beautiful villages in French Riviera
12.パリの美術館(Museums in Paris)

南西ドイツから南仏の美しい村を巡った旅の最後は久々のパリ。 今回は、パリで立ち寄ったいくつかのスポットをご紹介します。
まずは、2006年6月に開館した新しいミュージアム、ケ・ブランリー美術館。

ケ・ブランリー美術館(Musee du quai Branly)
http://www.quaibranly.fr/

この美術館については、既に現地から素晴らしいと情報が届いていますから観ないで帰るわけには行きません。
しかし、2007年10月当時では、まだ知名度はそれほどでもないのか、 パリ17区の泊まっていたホテルのフロントでアクセスを聞いたものの、はっきりした答えが出ませんでした。
とりあえず最寄の駅からメトロで、エッフェル塔の足元Champ de Mars(シャン・ドゥ・マルス)駅 へ。
なぜか物々しく警備されたエッフェル塔の前を通りセーヌ河畔に沿って進むと、壁面がびっしり植栽で覆われた建物、そして、その先に道路に沿って巨大なガラスウォールが見えてきます。こちらが、ケ・ブランリー美術館です。

壁面緑化の建物があると聞いていたのですが、想像以上に植栽が豊か。通常の水平な庭園を垂直にしたようなVertical Gardenと呼ばれるらしいです。この垂直庭園は植物学者パトリック・ブラン氏(Patrick Blanc)の考案、デザイン。

Patrick Blanc Vertical Garden
http://www.verticalgardenpatrickblanc.com/

パトリック・ブラン氏は、1953年パリ生まれの科学者で、植物学と熱帯の下生え植物の専門家。数々の垂直庭園を創造しています。
ケ・ブランリー美術館のウォールを植物がはげた部分から観察すると、建物外壁にフェルト生地のようなものが貼り付けられていて、そこに植物が根をはっている様子を見ることができます。
このような形で緑化ができれば、都市は、コンクリートジャングルから緑のジャングルに生まれ変わることができるかもしれません。
 

ケ・ブランリー美術館は、セーヌ河を挟んでパレ・ド・トーキョーの向かい側辺りにあります。面積2万5,000uで、およそ南北100m、東西250mの細長い形態です。中央に美術館棟、その北西に事務所棟とメディア棟、南西に独立するアトリエ・ブティック棟の4つの趣向の異なった建物からなっています。
建築家ジャン・ヌーヴェル氏(Jean Nouvel) の意図どおり風景の中に溶け込んだ美術館になってきているようでした。

Atlier Jean Nouvel
http://www.jeannouvel.com/

透明なガラスウォールには、「ケ・ブランリー美術館  アフリカ、アジア、オセアニア、アメリカ文明 のミュージアム」と書かれた看板がとりつけられています。


美術館の北側外観は、赤、オレンジ、紫、黄色に彩色された大きさの異なるカラーボックスが飛び出ているような個性的なデザインです。カラフルな色彩が、白い秋の草花やススキに映えて印象的な景観を形作っています。


美術館のエントランスは、この建物の下をくぐった南側にあります。チケットは見学内容によりお値段が違いますので、お時間、目的により選んでください。
エントランスから展示室までは、照明が落とされた中、様々な映像が映し出されている長いアプローチを進みます。常設展示は、アフリカ、アジア、オセアニア、そしてアメリカ大陸の祭祀の仮面や装束、楽器や織物、宝飾品、彫刻、生活道具などなど。ブログにも書かれているように、展示方法も斬新!

Letters from Europe
Musee du quai Branly
http://letters-from-europe.ktai-supli.jp/?eid=614408


さて、膨大な展示を堪能した後は、庭園に出てみましょう。 紅葉を始めた木々、ススキが生い茂り、白や黄色の秋の草花が咲き誇る野原のよう。

景観デザイナー、ジル・クレモン氏(Gilles Clement)による庭園もまた、ケ・ブランリー美術館の見所の1つです。

Gilles Clement
http://www.gillesclement.com/

収蔵作品の故郷の原風景に近付けるように、文献調査と現地調査を繰り返して造園したというだけあって、セーヌ河畔を忘れる佇まい。そのやさしい景観に誘われるように、美しいブルーの尾の長い野鳥も飛んできていました。
すずめが並んで遊ぶさまは、まるで、日本の里山のよう。


ベビーカーの家族が散歩していたり、池の周りでランチしている人も見られます。すっかりパリジャンの憩いのスポットになっているよう。

庭園には、池があったり、水生植物の生い茂るコーナーがあったり、この美術館のテーマにマッチした植生が、よりエクスペリエンスを高めています。

さて次は、再びメトロに乗って、2駅ほどセーヌを上り、オルセー美術館に向かいます。 オルセー美術館は、いわずと知れた西洋近代が生んだ美術作品の宝庫。

オルセー美術館公式サイト
http://www.musee-orsay.fr/en/home.html

そして、対岸にはルーブル美術館。

ルーブル美術館公式サイト
http://www.louvre.fr/llv/commun/home.jsp?bmLocale=ja_JP

ガラスのピラミッドは、すっかりルーブル美術館の顔になりました。
本体自体も随時改装を続けていますが、ルーブル美術館の分館がフランス北部のランス(Lens)に2010年オープン予定です。この分館の、設計は、金沢21世紀美術館を設計した日本のSANAA(妹島和世氏+西沢立衛氏)が取り組んでいます。

Louvre Lens (ルーブル・ランス)
http://www.louvrelens.fr/en

ケ・ブランリー美術館は、展示、建築、庭園そして垂直庭園など、どれをとっても斬新でみどころ満載。そして、文化や文明、環境などの現代的課題について考えさせてくれます。

また、ルーブル美術館もポンピドゥー・センター(Centre Pompidou)も地方に分館のオープンを予定し、常に進化をとげています。因みにポンピドゥー・センター分館にも日本人の建築家坂茂氏が関わっています。

ポンピドゥー・センター(Centre Pompidou)
http://www.cnac-gp.fr/

Centre Pompidou Metz
http://www.centrepompidou-metz.fr/

文化大国フランスのすごいところです。