My Favorite Travels And Places
(私の好きな旅と場所)

37.常夏の楽園いやしの風が吹くハワイへ
その1.ハワイ列島の誕生

【はじめに】

常夏の楽園いやしの風が吹くハワイを訪ねます。

初回の今回は、ハワイ列島の誕生について紐解きます。

ハワイ列島(Hawaiian Island chain)は、ハワイ諸島(Hawaii Islands)と北西ハワイ諸島(Northwesters Hawaiian Islands)とをあわせた約3000kmにおよび、環礁や岩礁に島々が太平洋上に弧を描くように位置しています。

私達がハワイと呼んでいるのは、アメリカ大陸よりの約700kmに137の岩礁や島々等が点在するハワイ諸島です。

西から二イハウ島(Niihau Island).カウアイ島(Kauai Island).オアフ島(Oahu Island).モロカイ島(Molokai Island).ラナイ島(Lanai Island).マウイ島(Maui Island).カフォオラウェ島(Kahoolawe Island).ハワイ島(Hawaii Island)の8島が主な島です。
(ニイハウ島は個人所有でカフォオラウェ島はアメリカ海軍が管理するため観光客は入れません)

ハワイ諸島へは、世界中から年間約728万人が日本から約117万人の観光客が訪れる太平洋地域屈指の観光リゾートです。(在ハワイ日本領事館2011年統計)

<ハワイ列島(ハワイ諸島と北西ハワイ諸島)>




【ハワイ列島の誕生】

ハワイ列島のハワイ諸島と北西ハワイ諸島は、地球表面の地殻を包む太平洋プレート(Pacific Ocean plate)上の海底山群(天皇海山群= Emperor Seamount Chain)等からなる一体の地質構造により形成されています。

そして、約3000kmにおよぶ太平洋上に点在するハワイ列島の岩礁や島々は、ハワイ島のホットスポット(Hotspot)と呼ばれる地球の中心の核(Core)やマントル(Mantle)から押し上げられたマグマ(Magma:岩漿)が、地殻の太平洋プレートの薄く弱い部位や亀裂部に噴出し堆積されて生まれたものです。

このホットスポットは、ハワイ島のマウナ.ロア火山(Mauna Loa volcano).キラウエア火山(Kilauea volcano).ロイヒ海底火山(Loihi Submarine volcano)周辺直下を定点とし数千万年前から現在にいたるまで活発な火山活動を続けています。

<地球の地質構造とホットスポット>



<キラウエア火山のヘルマウマウ火口>



<カラパナ村沖合のロイヒ海底火山のある海域>



太平洋プレートは、年間に2.0-3.7 Inch(5.08-9.39cm)の速度で移動していますが、ホットスポットから絶え間なく噴出するマグマが堆積し生まれた岩礁や島々は、太平洋プレートのベルトコンベアーに乗ったように北西方向に移動し、長い時間をかけてハワイ列島を築いてゆきます。

最初に生まれ最も古いハワイ列島の北西端に位置する北西ハワイ諸島のクレ環礁(Kure Atoll)やミッドウェー環礁(Midway Atoll)は、約4000-2700万年をかけてこの地に運ばれ移動してきたものです。

しかし、かつて島であった地形は、風雨や海水の浸食等により削られ自重により沈降し現在海中に没し環礁として陸域をわずかに留めるものとなり消滅へ過程をたどっています。

東に向かって少しずつ新しい年代に移行し、ハワイ諸島のカウアイ島は約510万年前に、オアフ島は約370万年前にマウイ島は約130万年前に現在の位置に太平洋プレートによって運ばれ、ハワイ島は約40万年前に生まれ現在もホットスポットとして活発に火山活動を続けています。

地質年代の中期に生まれたハワイ諸島のカウアイ島は、変化に富んだ深い谷や断崖のある地形の醸成過程と合わせ、一年間に1200mmを超える世界でも最も多い降雨量により、羊歯類をはじめとする植物がハワイ列島の中で最も繁茂する緑の島をつくりあげています。

最も地質年代の新しいハワイ島は、キラウエア火山の火山活動も活発で2011年のマグマの噴出で新たに約200haの溶岩台地が生まれ島を大きくもしています。

<2011年キラウエア火山の溶岩噴出により埋もれたカラパナの別荘>



<キラウエア火山の溶岩トンネル(サーストン.ラバ.チューブ )>



また、キラウエア火山東南約50kmの海上には、ロイヒ海底火山が爆発を繰り返し、新たな島の誕生が予見もされてもいます。

観光客に人気の名所となっているオアフ島のダイアモンド.ヘッド(Diamond Head). パンチボウル(Punchbowl).ハナウマ湾(Hanauma Bay)にマウイ島のハレアカラ火山(Haleakala volcano)は、かつてのホットスポットの火山活動の火口跡をとどめるものとして知られています。

<ダイアモンド.ヘッド(Diamond Head)>




【人々が住み神々のやどる島に】

ハワイ列島の起源は、約4000万年前にさかのぼります。

無人列島であった島々に人々が住むようになるのは、5世紀ごろからでより多くの人々がポリネシア(polynesia).ミクロネシア(Micronesia).メラネシア(Melanesia)等から渡ってくるのは、12世紀になってからのことです。

カメハメハ大王(King Kamehameha:1758-1819年) が統一王朝を築くのは1795年です。

ハワイが欧米の人たちに知られるのは、1778年にイギリスの探検家ジェームズ.クック (James Cook:1728-1795年)が発見してからのことです。

ハワイが常夏の楽園として世界の人々に親しまれるようになるのは、アメリカの50番目の州となる1959年以降の観光リゾート開発によるものといえます。

日本との繋がりは、1868年の移民にはじまりますが、観光リゾート地として知られるよう になり本格的な渡航がはじまるのは、1963年の海外旅行規制解除と以降の緩和に、1973年の対ドル為替レートの1$/365¥の固定相場制から変動相場制に移行したころからといえます。

その後の航空機の大型化やジェット化による高速大量輸送と、充実した施設整備とハワイの人々の温かいホスピタリティー(Hospitality)は、世界の人々を魅了し観光リゾートブームを起こしても来ています。

ハワイ列島誕生の長い地質年代からすると、人々が住むようになっての約1600年前で観光リゾート地として発展した近年の50年間は、ほんの一瞬の時の経過の中での事象といえます。

約4000万年前から人知れず流れてきた時間が生みだした自然こそがハワイの魅力の源泉です。

そして人々が住むようになり、偉大な自然に震撼し、深い尊重の思いから自然にやどる 神々への思いを育んでもきています。

4000万年前からのいやしの風が実感できる、偉大な自然と人々の敬虔な生活とその文化と歴史の薫る常夏の楽園ハワイは、私の好きな旅でもあり場所でもあります。

次回から、こうした自然に起源する魅力あるスポットにパワースポット(Pawer spot)ヒーリングスポット(Healing spot)スピリチュアルスポット(Spiritual spot)と呼ばれ不思議なスポットを訪ねたいと思います。



【参考図書・引用文献】

・在ホノルル日本国総領事館(Consulate General of Japan at Honolulu)
:ハワイ州統計要覧(2012年)
・アメリカ大使館資料情報室資料(Hawaii 2011年)







【作者プロフィール】
相馬正弘(そうままさひろ)
・京都市出身
・設計事務所を開設し、地域計画.都市計画.公園計画を中心に活動中
・大学の講師として後進の指導も
・趣味は、旅行.テニス

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ケータイ・サプリwebマガジンのための書き下ろしです。
使用されている写真の著作権は相馬正弘さんと記載されている方にあります。