My Favorite Travels And Places
(私の好きな旅と場所)

39.常夏の楽園いやしの風が吹くハワイ

その3. グリーンサンドビーチ

【はじめに】

今回は、ハワイ島サウスポイント(South Point)のグリーンサンドビーチ(Green Sand Bech)を訪ねます。

サウスポイントは、ハワイ語でカ.ラエ(Ka Lae)と呼ばれ先端を表す言葉で岬を意味し、ハワイ諸島最南端の岬であるとともにアメリカ最南端の岬でもあります。

無人のハワイ諸島に5世紀ごろタヒチから始めて海を越えて渡ってきたポリネシアの人々がこのカ.エラ岬に上陸したと言われています。

カ.ラエ岬やグリーンサンドビーチの位置するサウスポイント一帯は、最近まで人々にあまり知られず秘境と言われていた場所でもあります。

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<ハワイ諸島とサウスポイント>



<アメリカ最南端のサウスポイントの海岸>



【サウスポイントからグリーンサンドビーチへ】

グリーンサンドビーチへは、公共交通機関や定期観光バスなどが無いことから、レンタカーか個人でチャーターしたツアーで訪ねることになります。

郡都ヒロ(Hilo)と西海岸の中心カイルア.コナ(Kailua Kona)を結びハワイ島の南部を半周する国道11号(Hawaii Bellt Road)のほぼ中間に位置し、いずれの街からも100kmほどの地点をサウスポイント.ロード(South Point Road)と記される道標にそって、南に約15kmでグリーンサンドビーチの駐車場にたどり着きます。

国道11号から南に向かうサウスポイント.ロードの道標は、見落としそうな小さな標識ですのでカマオア風力発電所(Kamaoa Wind Farm)の大きなブレード(羽根)を目印に南進すると間違うこと無くたどり着けます。

しかしこの道路は、1987年に風力発電所建設当時に舗装されたもので、現在かなりいたみもはげしく、しかも車一台がようやく走れるほどの道幅で、運転と対向車とのすれ違いに注意を必要とします。

又、駐車場から約5km先のグリーンサンドビーチまでは、未舗装のため地元の人々により運行される四輪駆動車での利用がお勧めです。

と言いますのもサウスポイント.ロードとグリーンサンドビーチまでの道路は、レンタカーの保険適用除外区間のため、万一の故障や事故等に対し自己責任とされ保険でカバーされないからです。(2012年9月現在)

天気がよければ行きは、駐車場から約5km片道約1時間30分もどの道のりを、マウナ.ロア(Mauna Loa:4170m)南麓の雄大な景観と路傍のハワイ固有の海浜植物イエロー.イリマ(YellowIlima) やビーチ.ナウパカ(Beach Naupaka)などの花々を楽しみながら歩いて向うのもお勧めです。

しかし、太平洋からの強い海風と日陰のない強い陽差しや、急変する天気に対する用意に加えトイレや売店がないことにも注意し、飲み物.サングラス.日焼け止め.防寒着.雨具等を携行することが賢明です。

<マウナ.ロア南麓の景観>



<溶岩の上に生育するイエロー.イリマ>



【宝石の砂浜グリーンサンドビーチ】

徒歩の場合グリーンサンドビーチの駐車場から小高い溶岩の丘プウ.オ.マハナ(Puu Oh Mahana=ハワイ語で温かな丘)を目指し海沿いに東に向かって歩みます。

プウ.オ.マハナからは、突如崖下に湾曲した入江グリーンサンドビーチがひろがります。

その先の紺碧の太平洋と地平線のかなたへとのびて空へとつながる雄大な景観がのぞめます。

<プウ.オ.マハナとグリーンサンドビーチ>



グリーンサンドビーチの緑は、こまかく砕けた溶岩の中のオリビン(Olivine=橄欖石:かんらんせき)と呼ばれる鉱物で、宝石のペリドット(Peridot)ともイブニング.エメラルド(Evening Emerald)とも呼ばれる宝石です。

そして、溶岩の砕けた黒い砂と珊瑚が砕けた赤と白の砂とが混ざりあってオリーブ色の深い緑にも似た色合いの砂浜となっています。

この緑の砂浜の誕生は、地球のいとなみとハワイ諸島形成の地質と地形の歴史に大きく関係しています。

約10万年から約4万9千年前にホットスポット(Hotspot)からの噴火による溶岩が海に流れ込み水蒸気爆発を起こしその噴石が堆積した噴石丘と、海底火山の爆発によって生まれた火山縁の丘が海岸に重なるようにプウ.オ.マハナを形成します。

一帯の陸域は、年間 約2.4mmの速度で沈降がみられ数万年の時間の中で現在までに約117.6mから最大で約240.0m海に沈降したと考えられています。

グリーンサンドビーチは、陸域の海への沈降と太平洋からの波と風との浸食により、溶岩の中のオリビンが砕け洗い出され、砂よりも比重と密度の高いオリビンが入江の浜辺に打ち上げられ堆積したことが起源となっています。

<グリーンサンドビーチのオリビン(ペリドット)>



グリーンサンドビーチは、人知れず数万年の自然のいとなみと時間の中でつくり出された緑の宝石の砂浜と言えます。

プウ.オ.マハナで潮風に吹かれ、緑の宝石の砂浜と紺碧の海と空を望むことのできるグリーンサンドビーチは、私の好きな場所でもあります。


【参考図書】

・アメリカ大使館資料情報室資料(Hawaii2011年)
・アメリカ内務省国立公園局資料(Hawaii2011年)
・Hawaii Nature Explorers(2008年)











【作者プロフィール】
相馬正弘(そうままさひろ)
・京都市出身
・設計事務所を開設し、地域計画.都市計画.公園計画を中心に活動中
・大学の講師として後進の指導も
・趣味は、旅行.テニス

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ケータイ・サプリwebマガジンのための書き下ろしです。
使用されている写真の著作権は相馬正弘さんと記載されている方にあります。