アート&クラフト

第44回 金沢21世紀美術館
21st Century Museum of Contemporary Art, Kanazawa(石川県金沢市)

石川県金沢市の中心、兼六園のすぐ近く、広い芝生の真ん中に キラキラと輝く薄手の円盤が乗っかっているように、 軽やかな印象で建っているのが金沢21世紀美術館です。

金沢21世紀美術館
http://www.kanazawa21.jp/

もと金沢大学教育学部附属中学校・小学校・幼稚園があった場所に、「新しい文化の創造と新たなまちの賑わいの創出」というミッションのもと2004年10月9日に開館されました。

この5年間、こちらの美術館は、その斬新な建物をはじめ、そのコレクションや活動で地元のみならず世界的にも注目を集めてきました。

展示は、絵画・彫刻・工芸・写真・映像・建築、メディアアートなど多岐にわたり、アートの今を積極的に発信しています。

美術館の設計を担当したのは、パリのルーヴル美術館分館ルーヴル・ランスやニューヨークのニュー・ミュージアム・オブ・コンテンポラリー・アート の設計など、世界的に活躍中の建築家、妹島和世氏と西沢立衛氏。

建築コンセプトは、いつでもだれもが立ち寄り、様々な出会いや体験が可能となる公園のような美術館。

そのため建物の形は、どの方向からもアクセスできるように円形のデザインをとり、壁面は、開放的なガラスを多様した構造になっています。

この透明感のあるしつらえは、美術館内部と外部など異なる空間にいる者同士が互いの様子や気配を感じ取ることができる仕掛けにもなっています。

また、美術館内部の施設レイアウトは、展示室、カフェ、アートライブラリーなどが、ほぼ水平方向に配置され、街のような広がりを生み出し、建物の回廊部分を一周すると、様々な特徴のある施設を巡ることができるようになっています。

さらに企画展示など有料ゾーンと無料ゾーンのバランスもよく、無料ゾーンが広いことも特徴です。


今月の赤ちゃん連れでも楽しめる美術館では、この魅力いっぱいの金沢21世紀美術館をご紹介していきましょう。

今回は、名古屋から東海北陸道で金沢へ、そして兼六園側から美術館にアプローチ。

建物に入る前にまずひと遊び。 広い芝生で走り回るもよし、ステキなデザインの椅子に腰掛けるもよし。 ちょっとしたオブジェの中に入って遊ぶのも楽しそう。

ひとしきり庭で遊んだ後、館内に。

まずは、館中央の光庭に向かいます。
こちらには、この美術館の一番人気、 恒久展示作品、レアンドロ・エルリッヒの《スイミング・プール》が設置されています。

子どもも大人も、周囲を縁取るライムストーンのデッキ越しに プールの中をのぞいたり、水面に手をさしのべたり、思い思いに作品と対話。 そして、プールの中で動く人の不思議さに目を奪われています。

この作品は、チケットを購入し展示室を通っていけば館内からも観ることができます。

水面の揺らぎを仲介に、プールの上から眺め=眺められ、さらには内部から眺める=眺められるという、複雑な感覚を体験することができるとても興味深い作品です。

光庭には、ガラス廊下の通路をまたぐかたちで、パトリック・ブランの《緑の橋》という恒久展示作品も。

旅のヒントのパリの美術館でご紹介した、ケ・ブランリー美術館の外壁の一部を緑で装飾したことで知られる作家さんの作品。

旅のヒント
ドイツ・ファンタスティック街道と南仏の美しい村を訪ねて
  12.パリの美術館(Museums in Paris)
http://www.ktai-supli.jp/travel/200810.html

この作品では、金沢の気候に適した約100種類の植物が選ばれ、緑のオアシスを形成しています。

恒久展示作品は、他にもジェームズ・タレルの《ブルー・プラネット・スカイ》や LCM/ フェルナンド・ロメロの《ラッピング》などなどが、館の内外に点在しています。

さて次は、現在開催中の展覧会「横尾忠則展ー君のものは僕のもの、僕のものは僕のもの」。(11月3日[火・祝]まで)

隠居宣言をしながらも旺盛に制作し続けている横尾忠則氏の最新の作品を紹介しています。

横尾氏のアトリエに眠っていた未発表、未完成、落選作品の絵画や、 長年モチーフにしてきた「ピンクガール」や「Y字路」、ルソーの作品複製、 展覧会に先駆けて行われた公開制作の作品など、独創的な作品が展示。

展示されている絵画の横に小さなモニターがあり、 作品完成までの映像を早送りで流していてそちらを一生懸命眺める子どもも。

またルソーの作品複製は、どこがどう違うかなど 見比べると想像力が高まるようです。

コレクション展は、「shiftー揺らぎの場」をキーワードに、「私」を含む様々な物事を繋ぎとめる境界の揺らぎを探っています。(2010年4月11日[日]まで)

ふとした場所に雑草や花をモチーフにした作品を展示する須田悦弘氏、手芸用素材などを駆使して創作する村山留里子氏、レースやリネン、髪や糸などの素材を用いた作品を基にアニメーションを作り上げたアン・ウィルソン氏の作品などなど。 日常の中のちょっとした感覚の揺らぎをテーマにしています。

またとてもユニークな展覧会「広瀬光治と西山美なコの“ニットカフェ・イン・マイルーム”」も開催中。(2010年3月22日[月・祝]まで)

この展覧会は、金沢若者夢チャレンジアートプログラムの第三弾で、金沢21世紀美術館で展開される長期プロジェクト型展覧会です。

NHK教育テレビのニット講師をつとめるなどおなじみのニット界の伝道師・広瀬光治氏と現代アーティストの西山美なコ氏のコラボレーションによって制作された作品が展示されています。

さらにこのプロジェトでは、鑑賞者を巻き込んだ様々な編物プロジェクト、ワークショップが展開されています。

一年間という長期プロジェクトを通して、「編む」という行為や創造の意義、可能性を探っています。

展示室では、お姫様のお部屋のような作品に子供たちの顔も自然とほころんでいます。
お時間を合わせて行けば作品に参加することができます。
周囲に来場者が編む花のモチーフが展示されるというエブリデイニットプロジェクトも開催中。

展示室以外で注目されるのは透明なエレベーターでしょうか。 油圧で動いているとの説明がありましたが、乗っていると周りに何もないので 不思議!

またカラフルでユニークな三輪車の形をしたパトリック・トゥットフオコ《バイサークル》も楽しい作品です。(2010年4月11日[日]まで)

こちらは中学生以上だと自分で運転しながら館内をまわる事ができます。 小さいお子さまは三輪車に腰かけて写真を撮ることも可能かも。

キッズスタジオ「ハンズオン・まるびぃ」もあり、 伺った日は1時からプレイルーム「かたちで遊ぼう!」が開催されていました。

いろいろな形をつなげたり並べたりして、子どもたちの想像力を高めているよう。 こちらは9月中のイベントなので、10月以降のスケジュールは美術館ホームページで確認していかれるといいでしょう。

ランチやティータイムには、FUSION21という全面ガラス張りのカフェレストランでくつろぐのもいいかも。
金沢の有名喫茶店MAPLE HOUSEが出店しています。

カフェレストランFUSION21
http://www.e-maplehouse.com/fusion21.html

また、金沢21世紀美術館オリジナルポストカードをはじめ、美術館ならではの様々なグッズを取り揃えたミュージアムショップでお気に入りの一品を探すのも楽しいかもしれません。

託児施設やアートライブラリーも充実していますので 小さいお子さま連れでも安心です。

車椅子やベビーカーの貸し出し、また授乳室の設備もあります。

一日ゆっくり遊んでも遊びあきない 子供と一緒に楽しめる数少ない美術館に感動!

半券があれば再入場も可能なので便利です。

金沢まで足を伸ばして充実の金沢21世紀美術館で現代アートを楽しんでみませんか?

芸術の秋をご家族で楽しめるイチオシのアートスポットです。

また、建築に興味のある方はもちろん、ない方もこの新しいコンセプトで建てられた 美術館建物を観るだけでも価値があります。

お時間があれば、金沢の街歩きも魅力。
付近には、兼六園、金沢城公園、繁華街の香林坊、周辺には、石川近代文学館、石川県立美術館、石川県立歴史博物館などがあり、金沢の街を存分に楽しめるでしょう。

兼六園
http://www.pref.ishikawa.jp/siro-niwa/kenrokuen/

金沢城公園
http://www.pref.ishikawa.jp/siro-niwa/kanazawajou/index.html



赤ちゃん連れのお母様へ:
金沢21世紀美術館はベビーカーで入館できます。(全館バリアフリー)
オムツ換えについては、ミュージアムショップ前と地下の多目的トイレにベビーシートが設置されています。
授乳室の設備もあり、ベビーカーの貸し出しもあります。
詳細は美術館ホームページでご確認くださいね。


























このコーナーでは、お子様連れで楽しめる皆さまの気に入りの ミュージアム情報を募集しています。 お問い合わせフォームから、是非お寄せください。
また、このコーナーへのご意見・ご感想もお気軽にお寄せくださいね。
お待ちしております。



金沢21世紀美術館

茨城県陶芸美術館

金沢21世紀美術館

箱根 彫刻の森美術館

金沢21世紀美術館
箱根 彫刻の森美術館

レアンドロ・エルリッヒ《スイミング・プール》 

茨城県陶芸美術館

横尾忠則 《燃える空》 2008
© Tadanori Yokoo

茨城県陶芸美術館

 アン・ウィルソン《逸脱の行動》2004
 金沢21世紀美術館蔵
 Composer: Shawn Decker,
Animator: Cat Solen, Post-production
Animator and Mastering: Daniel Torrente
© 2004 Anne WILSON

茨城県陶芸美術館

広瀬光治×西山美なコ
   《ニットパビリオン- ニットカフェ・イン・マイルーム》
2009年 金沢21世紀美術館蔵  

十二の旅:感性と経験のイギリス美術 会場風景

油圧エレベーター 十二の旅:感性と経験のイギリス美術 会場風景

パトリック・トゥットフオコ
 《バイサークル (シルヴィア、アレッサンドラ、エミコ、リツ)》  2004 十二の旅:感性と経験のイギリス美術 会場風景

キッズスタジオ

十二の旅:感性と経験のイギリス美術 会場風景

カフェレストランFUSION21

ミュージアム情報

金沢21世紀美術館

住所:
石川県金沢市広坂1-2-1
tel:076-220-2800 

詳しくは、直接、お問い合わせいただくか、
金沢21世紀美術館をご覧ください。

*こちらの記事は金沢21世紀美術館 より許諾を頂いております。