9月に入ったとはいえ都会はまだまだ暑さが厳しいですね。
夏の疲れを癒しに、爽やかな秋風に吹かれながらアートを楽しみたい方におススメなのが、
高原の美術館。
信州の高原は一足早く秋の気配でいっぱいです。
今回ご紹介する八ヶ岳高原美術館は、長野県の中央に位置する八ヶ岳中信高原国定公園の北東部、標高2000mの高原に展開する屋外彫刻美術館。
美ヶ原高原美術館
http://utsukushi-oam.jp
美ヶ原高原といえば、北アルプスをはじめとする雄大な山並を360度眺望できる抜群の景観と200種類以上にも及ぶ高山植物が咲き乱れるその名の通り美しい高原として知られています。
美ヶ原高原美術館は、その高原の東側、およそ4万坪の広大な敷地に、約350点もの具象、抽象の現代彫刻作品が点在するスケールの大きな美術館です。
1981年6月、以前このコーナーでご紹介した箱根・彫刻の森美術館の姉妹館としてオープンしました。
第39回 箱根 彫刻の森美術館
http://www.ktai-supli.jp/art/200905.html
今回は、膨大な数の現代彫刻作品と11月18日(日)まで好評開催中の「ミッフィーはどこ?」−高原のかくれんぼ−展、さらに高山植物の咲く秋の高原と魅力満載の美術館を取材してきましたので、早速ご紹介しましょう。
東京からのアクセスは、中央自動車道で諏訪インターへ、さらにビーナスラインで
白樺湖、車山、霧が峰をドライブするのが快適です。
最後の峠を過ぎ、美ヶ原高原に入るとそこに広がっているのは雲の上のアートリゾート!
青空のもと前方にかわいらしい赤い屋根の建物、左手の丘の斜面には様々な彫刻作品が点在する異空間が広がっています。
美術館エントランスのある赤い屋根の建物の前の駐車場に車を停め、
早速美術館に向かいましょう。
美術館は本館屋外展示場と新館屋外展示場、さらに室内展示場として二つの「ギャラリー」と「こども美術館」、「ビーナスの城」から構成されています。
入場券売り場でチケットを購入し、まずは、本館屋外展示場へ向かいます。
本館、新館とも屋外展示場にはそれぞれ30分のモデルコースが案内されていますので、
参考にするのもいいかもしれません。
さて、本館屋外展示場の最初に展示されているのが、セザールの大理石で創られた《親指》。高さ308cmの巨大な彫刻です。
作家自身の右手親指をかたどった原型を何段階もの過程を経て、指紋やしわの細部まで正確に拡大されています。大理石の持つ素材感を活かした印象的な作品です。
さらに進むと「愛の広場」のコーナーに、天空に飛翔しているかのように美しく展示されている作品があります。
新谷e紀の《愛のモニュメント》。
それぞれに制作した作品を再構成して作り上げられた、優美で軽やかなモニュメントです。
さらに進むと、展示場の中で最も目立つと言っていい、色鮮やかでダイナミックな作品、アレクサンダー・リーバーマンの《イリアッド・ジャパン》に圧倒されます。
高さ14m、総重量36トンの巨大彫刻。イリアッドとはホメロスの作とされるトロイアの戦いをうたった叙事詩。直径2mを超す円筒とそれを切断した28個のパーツからなるフォルムは、都市の崩壊と再生を象徴的に表しているとか。
さらに「ビーナスの城」へ向かって進むと豊福知徳の《風塔》が。
厚い耐候性鋼の板にうがたれた穴は、作者独特のスタイル。絶妙な大きさと形にうがたれた穴は空間認識を変えるかも。
丘の頂上に建つのは、「ビーナスの城」です。「ミロのビーナス」など8体の大理石像(模刻)が展示されています。屋上からは、屋外展示場をはじめ周囲の山並みを眺望することができます。
ゆっくりと下りに入ると、右手に新宮晋の《星のコンパス》が展示されています。
緻密に計算された大小4つの回転体が自在に動き、風を巧みにとりこみ、目に見える動きに変えて、雄大な自然と一体になっている作品。美ヶ原高原美術館のために作られました。
下方に眼を移せば、《ダイアモンド構造》と題する後藤良二の作品に眼がとまります。
81体の男性像をダイアモンドの分子構造に置き換えて作られた作品です。
両手足を思いきり伸ばし、しっかりと結合し支えあいながら大空に向かっていく姿は、
力強く希望に満ちています。
こども美術館の傍らには、関正司の《Wind Dancer》が。
自然の風を受け、髪をなびかせている少女のスカートは風により向きをかえます。
さて、今度は新館屋外展示場に向かいましょう。
奥の一角には、井上武吉の《マイ・スカイ・ホール(天をのぞく箱)》と題する作品が展示されています。
高さ18mの4本の柱から吊り下げられた球体を見上げると、今まで見ることのできなかった不思議な景色が広がります。
大宇宙を眼前の小宇宙に凝縮して封じ込め、あたかも天をのぞいているかのような空間を創造するユニークな作品です。
一方、中垣克久の《山上のソロ》という楽しい作品も。
大胆にデフォルメされたグランドピアノを前に、右手を大きく上げて演奏するピアニスト。奏でる楽曲が高原の風にのって聞こえてきそう。
さて、小さなお子さま連れにおススメなのが「こども美術館」。小学生以下の子供たちが、自由に中に入って遊ぶことのできる「しゃぼん玉のお城」などのプレイ・スカルプチャー(遊戯彫刻)が展示されています。こどもたちは彫刻と戯れて大喜び!
最後は、ギャラリー1で開催されている企画展「ミッフィーはどこ?」―高原のかくれんぼ―展を覗いてみましょう。
この展覧会は、写真家・前田晃さんの写真集「ミッフィーのいる丘」(講談社)掲載の写真と作者が長年撮り重ねた風景写真を組み合わせて構成された季節感たっぷりの写真をミッフィーとともに楽しむことができる展覧会です。
ミッフィーと風景写真を結ぶのは、初回から会場全体のプロデュースをするメディア・アート・ユニットplaplax。
インタラクティブな体験型展示やミッフィーのお家から四季折々の美しい景色を眺めたり、アートと遊びが融合した素敵な空間で 大人も子どもも楽しめます。
また、美ヶ原高原一帯に時を告げる「アモーレの鐘」についても付け加えておきましょう。
この鐘は、パリ、モンマルトルの丘の上に立つサクレ・クール寺院の“サヴォアイヤールド”と呼ばれる有名な大吊鐘を制作したパッカール社により作られました。
鐘楼は、屋外展示場へ向かう橋の手前にありますので、お見逃しなく!
ランチやカフェ、おみやげ探しには日本一高い場所にある赤い屋根の道の駅のレストランやショッピングモールが利用できます。
爽やかな秋の一日、高原ドライブを楽しみながら、ご家族でお気に入りのアートと自然を探しに美ヶ原高原美術館にいらしてみませんか?
ここでご紹介した彫刻作品は美ヶ原高原美術館に展示されている作品のほんの一部。
なにしろ展示作品は約350点!!あとは実際に皆様が美術館を訪問して様々な作品を楽しんでくださいね。
きっとお気に入りの作品が見つかることでしょう。
そして見つかったら、色々な角度から観たり対話したりしてみてはいかが?
アートと自然の融合した素晴らしい環境で素敵な時間を過ごせることでしょう。
、
赤ちゃん連れのお母様へ:
美ヶ原高原美術館はベビーカーで入館できます。
オムツ替えは、「こども美術館」のトイレとショッピングモール1階
バリアフリートイレにオムツ替えシートがあります。
このコーナーでは、お子様連れで楽しめる皆さまお気に入りの
ミュージアム情報を募集しています。
お問い合わせフォームから、是非お寄せください。
また、このコーナーへのご意見・ご感想もお気軽にお寄せくださいね。
お待ちしております。

美ヶ原高原美術館

本館屋外展示場風景

セザール(セザール・バルダッチーニ)
(フランス)1921−98
《親指》1986−87
大理石

新谷e紀
《愛のモニュメント》

中央:アレクサンダー・リーバーマン
(ロシア−アメリカ)1912−99
《イリアッド・ジャパン》1987
鉄、塗料

豊福知徳
《風塔》

本館屋外展示場風景
右:後藤良二
《ダイアモンド構造》

関正司
《Wind Dancer》

新館屋外展示場風景

中垣克久
《山上のソロ》


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「ミッフィーはどこ?」展会場風景
美ヶ原高原美術館
住所:
長野県上田市武石上本入美ヶ原高原
TEL:0268-86-2331(代表)
0268-85-2111(冬季:12月〜3月)
開館期間:
2012年4月21日(土)〜2012年11月18日(日)(予定)
(会期中無休)
開館時間:9:00〜17:00(入場は16:30まで)
詳しくは、直接お問い合わせいただくか、
美ヶ原高原美術館をご覧ください。
*取材協力・美ヶ原高原美術館
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